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富士通が5年連続5度目の社会人王座、第73回ライスボウルへ

7年連続11度目出場の富士通が、28―26でパナソニックに勝ち、4年連続5度目の社会人王座に就いた。
MVPは第3Qに75ヤード独走の逆転TDランを決めた富士通のRBサマジー・グラント(24)が初受賞した。
富士通は来年1月3日の日本選手権「プルデンシャル生命杯ライスボウル」(東京ドーム)で、学生王者の関学大と対戦する

 【第1クオーター】

 コイントスに勝ったパナソニックが前半のレシーブを選択。富士通のキックオフで試合が開始された。
パナソニックは自陣16ヤードからの最初の攻撃。QBロウレンスを起点にWR頓花へのパスと、RBミッチェルのランで2度ファーストダウンを獲得した。しかし、その後は続かず、パントを余儀なくされた。
富士通は自陣11ヤードからの攻撃。QB高木からRBグラントへのパス、グラントの2度のランでファーストダウンを獲得した。さらに、グラントへのパス、グラントのランでファーストダウンを更新した。ボールオンは自陣34ヤード。ここで高木からWR中村へのパスが決まり、ファーストダウンを獲得した。続いてグラントのラン、TE福井へのパスなどで前進を図るが、攻撃は続かない。
パナソニックの攻撃は自陣14ヤードから。RB藤本の連続ランでファーストダウンを獲得した。しかし、続くWR青根へのパスなどではファーストダウンを獲得できない。
富士通はWR高津佐の好リターンで敵陣42ヤードからの攻撃。しかし、パスを受けたRBデレクアキラが走るも、前進できない。富士通はここで前半1回目のタイムアウトを選択。すると、富士通は第4ダウンギャンブルでQB高木がWR中村へ38ヤードのTDパス。これが見事に決まると、11分40秒、キックも成功させて、7点を先制した。

◆富士通QB高木 (エースQBの)バードソンがケガをして、今日は自分にとって人生にとって1度のチャンスだと思った。不思議と緊張はなかった。1本目のTDはクラークさんが走り込むのを信じて投げた。ライスボウルは純粋に楽しみ。しっかり準備する。まだまだ伸びしろはあると思っている。

パナソニックの攻撃は自陣18ヤードから。RBミッチェルのランでファーストダウンを獲得した。ここで第1Qが修了した。

 【第2クオーター】

 パナソニックは自陣36ヤードからの攻撃。QBロウレンスからWR頓花へのパスでファーストダウンを獲得した。さらにQBロウレンスのランなどでファーストダウンを更新。すると、ここでロウレンスからWR頓花への38ヤードTDパスが成功。キックも決まり、1分29秒、パナソニックが7―7の同点に追い付いた。

◆パナソニックWR頓花 リーグ戦で目立った活躍ができなかったので、今日はチームを助けるプレーをしたかった。追い詰めるところまで行けて勝機はあったが、相手が1枚上だった。来年はリベンジしたい。

対する富士通は、WR高津佐が47ヤードのビッグリターンで、敵陣31ヤードからの攻撃。すると、第2ダウンでいきなり、QB高木がWR中村へ29ヤードのTDパスを成功させた。同点とされてからわずか47秒後の2分16秒、富士通が14―7と再びリードを奪った。

◆富士通WR中村 前半の2本目のTDは(相手コーナーバックと)1対1になり、100%投げてくるプレーを決められた。1本目は飛んできたのがラッキーだった。外国人QBではなく、高木で勝ったのは大きい。ライスボウルではロングパスを得点に結び付けられればうれしい。

パナソニックの攻撃は自陣18ヤードから。QBロウレンスからWR小山へのパスでファーストダウンを獲得した。さらにWR高木へのパス、RBミッチェルのランでファーストダウンを更新した。続くWR頓花へのパスなども決まり、ファーストダウンを連続更新。敵陣19ヤードまで進んだ。しかし、ここでパナソニックはホールディングの反則で10ヤード罰退。そこからRBミッチェルが走るが富士通LB竹内に止められてしまう。その後、WR高木へのパスで敵陣16ヤードまで進むと、K佐伯栄の33ヤードのFGが決まった。3点を返し、6分1秒、得点は富士通の14―10に変わった
富士通の攻撃は自陣24ヤードから。RBグラントの連続ランはパナソニックLB林、DLジョーンズに止められ、次のパスも失敗してしまう。
パナソニックの攻撃は自陣39ヤードから。しかし、こちらもQBロウレンスのパスではファーストダウンを獲得できない。
富士通は自陣26ヤードからの攻撃。QB高木からパスを受けたRBグラントが走り、6ヤード進むと、次のランでファーストダウンを獲得した。さらにWR松井へのパスでファーストダウンを更新。そして、WR岩松、WR中村へのパスでファーストダウンを獲得した。ボールは敵陣19ヤードまで進んだが、続くパスプレーでRBグラントがファンブル。パナソニックDLモトゥにリカバーされてしまう。
代わって、パナソニックは自陣21ヤードからの攻撃。しかし、富士通OLB山岸にロスタックルを浴び、5ヤード後退してしまう。パナソニックはタイムアウト。ここで前半が終了した。

◆富士通OLB山岸 今日は失うものは何もないので、思い切りやろうと思っていた。前のめりになるところもあったが、修正していく。

 【第3クオーター】

 サムライギタリストMIYAVIとXリーグチアリーダーズによるハーフタイムショーの後、パナソニックのキックオフで試合再開。富士通の自陣25ヤードからの攻撃となった。
富士通はRBグラントの連続ランでファーストダウンを獲得した。さらにWR中村へのパスでァーストダウンを更新したが、続くプレーではQB高木がパナソニックDL梶原にサックされてしまう。さらに、ここでパナソニックにビッグプレーが飛び出す。なんとDB小池が39ヤードのインターセプトTD。キックも決まり、1分42秒、パナソニックが17―14と逆転に成功した。
富士通の攻撃は自陣19ヤードから。RBグラントの連続ランでファーストダウンを獲得した。さらにTE福井へのパス、WR中村へのパスでファーストダウンを更新した。しかし、ここでQB高木がDLモトゥにサックされてしまう。パスもカットされ、リズムに乗れない富士通。すると、今度は高木がDL梶原にサックされてしまう。
パナソニックは自陣21ヤードから攻撃。QBロウレンスからWR青根へのパスで5ヤード、RBミッチェルへのパスで3ヤード進む。続くミッチェルのランでファーストダウンを獲得した。さらにWRワイズへのパスでファーストダウンを更新。次は第4ダウンギャンブルで、RB岩田のランを使ってファーストダウンを更新し、敵陣39ヤードまで進んだ。しかし、フォルススタートの反則で5ヤード罰退。それでも、WR頓花へのパスで前進すると、パスを受けたRBミッチェルが走り、ゴール前6ヤードでファーストダウンを更新した。さらにミッチェルのランで3ヤード進むが、またもフォルススタートの反則で5ヤード罰退し、ゴールまでは残り8ヤードとなった。ここで富士通ディフェンスも粘り、第3ダウンからの前進は許さない。ここでパナソニックはK佐伯栄が29ヤードFGを決め、11分46秒、得点はパナソニックの20―14となった。
続くパナソニックのキックはタッチバックとなって富士通は自陣25ヤードからの攻撃。すると、ここでお返しのビッグプレーが決まる。RBグラントが左サイドラインを走り抜け、75ヤードのTラン。キックも決まり、11分57秒、富士通が21―20と逆転に成功した。
パナソニックが残り3秒からキックオフリターン。ここで第3Qが終了した。

◆富士通RBグラント 前半は良くなかったが、後半持ち返せたのはみんながいたから。でも個人的には満足していない。だから、MVPと聞いてびっくりしている。ライスボウルでは今日より良いプレーをする。

 【第4クオーター】

 パナソニックの攻撃は自陣27ヤードから。QBロウレンスがパスでファーストダウンを獲得すると、RBミッチェルのランでファーストダウンを更新した。さらに頓花へのパスでファーストダウンを更新。敵陣29ヤードまで進んだ。さらにRBミッチェルのランなどを見せるが、ファーストダウンを更新できない。ここでK佐伯栄の40ヤードFGトライは不成功に終わってしまう。
富士通は自陣23ヤードからRBグラントが走り、ファーストダウンを獲得。すると、この後、パナソニックにホールディングの反則があり、富士通がファーストダウンを更新した。富士通はさらにグラントへのパスなどでファーストダウンを連続更新。敵陣31ヤードまで進んだ。RBデレクアキラのラン、グラントのランで敵陣14ヤードでファーストダウンを更新した。富士通はさらにグラントとデレクアキラが走る。そして、ゴール前9ヤードに迫ったところで、富士通は後半1回目のタイムアウトを要求した。再開プレーは高木からグラントへのパス。グラントがファンブルしてビデオ判定となったが、こぼしたボールをエンドゾーンでWR岩松が押さえたとの判定で富士通がTDを獲得した。6分33秒、キックも決まり、富士通が28―20とリードを広げた。
パナソニックの攻撃は自陣28ヤードから。QBロウレンスからWR高木へのパスでファーストダウンを獲得した。その後の攻撃ではDL神山に4ヤードのロスタックルをされてしまうが、RBミッチェルへのパスとミッチェルのランでファーストダウンを更新した。さらに頓花への連続パスでゴール前5ヤードでファーストダウンを更新。ミッチェルのランで2ヤード進むと、最後もミッチェルが中央に走り込み、3ヤードのTDランを決めた。しかし、2点コンバージョンのパスは不成功。残り時間2分40秒で、得点は富士通の28―26に変わった。
富士通の攻撃は自陣14ヤードから。最初のRBグラントのランは2ヤードロス、次のランで6ヤード前進した。ここでパナソニックは後半1回目のタイムアウトで流れを引き戻しにかかる。すると、富士通はRBグラントへのパスは成功したが、ファーストダウンは更新できない。
富士通のパントで、残り時間1分29秒。パナソニックの攻撃は自陣41ヤードから。QBロウレンスのパスとランで8ヤード進み、残りは57秒。しかし、ここからパナソニックは連続フォルススタートの反則で合計10ヤード罰退してしまう。さらに第3ダウン12ヤードでQBロウレンスが富士通LB竹内に2ヤードのロスタックルを浴びてしまう。パナソニックは最後のタイムアウトを取り、残りは43秒。第4ダウンギャンブルのパスは不成功に終わり、攻撃権は富士通に代わった。

◆富士通LB竹内 あそこはQBが絶対に走ってくるので、止めてやろうと思った。無心で追いかけた。前半は東京ドームの気圧とパナソニックのハイテンポオフェンスで息が上がり過ぎたが、ハーフタイムで気持ちを落ちつかせることができた。

残り32秒で富士通はQB高木がニーダウンして、時計を進めるビクトリーフォーメーション。最後は昨年の再現となり、そのまま、勝利が決まった。

◆富士通 山本ヘッドコーチ 最後にどうなるか分からなかったが、選手が頑張ってくれた。ハラハラしたが、選手を信じていた。日頃からどんな状況になってもできるように取り組んできた選手たちが、きっちりやりきった。

◆パナソニック荒木監督 もう1歩なんだが、1歩ではない。勝てるチャンスがあったのに勝てないのは大きな差と言える。今日はサマジー(グラント)にやられた。1発は覚悟していたが、後半は止めきれなかった。でも、今年はチームに、例年にない一体感が生まれた。

<アメリカンフットボール:ジャパンエックスボウル・第33回日本社会人選手権◇東京ドーム

(日刊スポーツ新聞社 吉池彰)

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