オービックは2年連続6度目、関学は4年ぶり7度目の出場と、ライスボウルには顔なじみの両者だが、意外にも今回が初対決となる。選手個々の力で上回るオービックに総合力で立ち向かう関学、という構図だ。 甲子園ボウルで関学が優位に試合を進めることができた理由の一つには、日大DEモトゥのセットするサイドへの攻撃は極力避ける、という戦略があった。 今回、関学攻撃にとって頭が痛いのはオービックにはケビン・ジャクソン、カール・ノアのスピード、サイズ、パワーともに抜群のDEが左右両サイドに控えていることだ。しかも実力的にはモトゥよりも両選手とも上。この2人をどう封じるのかが関学攻撃のドライブ力に大きく影響する。また今シーズンは、肝心なところでQB畑がロングパスを決めてドライブをつないできた。レシーバー陣とのコンビネーションは豊富な練習量で抜群なだけに、これを最も効果的に使うために、どんな布石を打っていくのか興味深い。 もう1点はキッキングゲーム。オービックには木下、清水など1発ロングゲインでTDに持っていける選手が揃っている。それだけにフィールド戦略でミスがあると苦しい。K/P大西が甲子園ボウル同様の正確かつ絶妙なキックとカバーでオービックのリターンを最小限に抑え、ロースコアで4Q勝負に持ち込みたいところだ。 オービック攻撃はOLの活躍がカギとなる。前回のライスボウルでも立命館大守備の豊富な運動量と目まぐるしく変わるフロントのスピードに苦戦し、ランプレーが思ったように進まなかった。今回の関学守備フロントもスピードがあり、複雑なシステムをこなせるなど、前回同様の難敵だ。とはいえ、QB菅原の負担を減らすためにも、シンプルに対応できる方策を見つけたい。 オービックサイドではK金親の調子が気がかり。接戦になった時にJXBの状態だとスコアを積み上げていくのが難しくなるだろう。攻撃陣の負担を減らすためにも、堅実なキックが求められる。 勝敗に意外な影響を与えそうなのが、オービック応援団のクラウドノイズかもしれない。東京ドームでは音が反響し、プレーコールが聞き取りにくくなる。学生ではほとんどない現象だけに、関学がどんな対策を取ってくるかも注目したい。 (日刊スポーツ 井藤 融)