2012.01.04
オービックシーガルズ関西学院大学を退け二連覇を達成



オービックシーガルズ関西学院大学を退け二連覇を達成



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【第1クオーター】

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 関学の挑戦者らしい主導権の奪い方だった。試合開始のキックオフでいきなり、K大西のオンサイドキックで攻撃権を獲得。精度の高いこのプレーが、この後関学の豊富で精緻な展開を予感させた。このドライブはオービックDL紀平にQBサックされ、攻撃権が移るが、返しのオービック攻撃でQB菅原からWR清水へのパスを関学DB池田がインターセプト。関学守備はここにすでに見た目のギャップという罠が仕掛けていた。奥のゾーンをDB4人で守っているのを見せて、安全に手前のレシーバーに投げると、さらにその前にLB、NBが入ってくる構造から生まれたビッグプレー。QB菅原の判断の良さを逆手に取った戦術で、菅原はペースをうまくつかめなくなった。関学は再び攻撃権を得ると、RB望月が5分40秒にエンドゾーンに飛び込んで先制TDを決めた。JXBでも富士通が使っていたとしていたOLBの後ろへのショートポストをキープレーにし、ドライブを進める周到さだった。一方、オービックはQB菅原がWR萩山、服部へロングパスを狙うが、不成功。この時点で富永オービック攻撃コーディネーターは「一度菅原の頭を整理させよう」次のシリーズから一時QBを代えた。

 【第2クオーター】

2Q_hata1.jpgのサムネール画像 オービックQB木下が指揮するドライブはクオーター開始早々、木下自身のランでゴール前1ヤードまで迫ったが、ここで関学守備は思い切ってCBブリッツを選択しRB中西を2ヤードのロスにしとめる。続くQBキープもロスし、FGでドライブは終わった。

このあたりで関学攻撃の細やかな仕掛けが効いてくる。右へ左へ大きく展開しながら、その実、プレーサイドのTEが逆サイドへ飛んでバックサイドのDEをブロック。わずかなギャップが出来たところをQB畑がカットバックしてつっこみ、着実にゲインを重ねる。しかもインサイドのランプレーを細かく織り交ぜて、フェイクを入れられるとDL・LBが反応せざるを得なくなっているので、その逆のプレーが進むようになっていたのを関学は見逃すはずもなかった。返しのドライブ、プレーアクションを入れたショートポストで左OLBのパスカバーの後ろのスペースへパスを通すと、過剰反応するオービック守備を逆手にダブルリバースからWR木戸が左サイドを駆け上がり、ファーストダウンを獲得。エンドゾーンに迫ると、最後はQB畑が右ロールへ出て左スローバックを狙ったが、目の前のオービック選手がオーバーフローになるのを見るやいなや一気に縦に駆け上がり、7分40秒に自らTDを決めた。さらに関学は主将のRB松岡が走って20ヤード前進したが、オービックDLも踏ん張る。そして、次のキックオフでWR清水がビッグリターン。しかし、菅原が連続QBサックを食らいFGに終わり、前半は関学の14対3で折り返した。


 【第3クオーター】


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 後半に入ると関学はチェンジオブペースとしてQBを糟谷に代えてドライブを続けるが、得点できず。オービックはオプションピッチを受けたRB古谷がファーストダウンを獲得した。そして菅原が小刻みなパスでつないで前進、さらに古谷が中央を突破し、ゴール前5ヤードに迫ると、ここで、この日初めて片方のサイドにレシーバーを3人集めるトリップス体型を敷き、逆サイドのワンレシーバーに入った森へTDパスが決まった。2ポイントコンバージョンも決まり、オービックが3点差に迫った。関学も14分30秒、K大西が48ヤードのFGを決めて6点差に再び広げたが、オービックはここから自らの力を誇示するかのような攻撃コールを重ねる。富永攻撃コーディネーターはWR清水へのロングポストを指示。最初のパスは通らなかったものの、関学DBのパスインターフェアで15ヤード前進。さらに、全く同じコールが繰り返されると、今度は清水への45ヤードパスを成功させ、関学守備とのスピード差を見せつけて反撃。ゴール前1ヤードに迫った。ロングパスを投げるタイミング を見失っていたQB菅原は「強気で行け、というメッセージだと思った」と意図を読み取っていた。

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 【第4クオーター】

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4クオーター開始5秒、QB菅原が右キープで自らエンドゾーンに飛び込んだ。TFPも決まり、18-17と逆転に成功。追いかける立場に変わった関学はQB畑がキープを中心にドライブ。しかしオービック守備もこの頃になるとブリッツを多用しなくなり、動きを見てから対応しだした。これを読み取った関学攻撃はRB松岡へのシャベルパスで31ヤードゲイン。ゴール前に迫ったが、エンドゾーンには入れず、最後は大西が5分にFGを決め、20-18と再逆転した。

しかしオービックはさらに個々のスピード勝負に活路を見いだす。シャローアクロスを左から右へWR木下に走らせダウン更新。続いて左コーナーへ再びWR木下へのパスを通し、大きく前進する。関学守備も対応していたが木下のスピードに追いつけなくなっていた。そして最後は菅原が自ら走り込み、再逆転TDを決めた。しかし、再度狙った2ポイントコンバージョンは失敗に終わり24-20。次の得点が試合を左右する、そう誰もが考えた残り5分18秒、オービックにビッグプレーが飛び出す。DB藤本が左フラット

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のパスインターセプト。一瞬のスピードが優っていた。すると、このチャンスに菅原がポストを走っていたWR阿南へ25ヤードTDパスを決めた。これも関学DBにスピードで上回った結果だった。さらにオービックはLB古庄のインターセプトで攻撃権を奪うと、残り1分51秒に菅原から木下へのTDパスが決まり、38-20と関学を突き放した。粘る関学はQB糟谷を投入し、残り49秒でTD、2ポイントコンバージョンを返すが、38-28で力及ばなかった。 キッキングではFGを積み重ね、パントではリターンをまともにさせない戦術をベースに関学は着々とプランを遂行。試合前2週間を最大限準備したことを想像させたが、個々の能力で優位に立つ部分は最大限強調してくる、フットボールらしい展開でオービックが社会人2チーム目のライス連覇を達成した。


(日刊スポーツ 井藤 融)



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