出場３年連続５２回目の関学大と同２年ぶり５度目の早大の対戦は、関学大が２年ぶり史上最多２９度目の優勝を果たした。
関学大はＱＢ奥野耕世（２年）が、パスに加えて見事なスクランブルランを見せ、試合をコントロールした。１０―７として迎えた第２Ｑ、ＲＢ三宅昴輝（２年）の４１ヤードＴＤランなどで、リードを一気に２０点差に広げ、逃げ切った。
チャックミルズ杯・年間最優秀選手賞と大会最優秀選手には奥野が、敢闘選手には早大ＱＢ柴崎哲平（３年）が選ばれた。関学大は１月３日のライスボウル（東京ドーム）に進出、社会人王者と対戦する。
【第１クオーター】
早大のキックオフ、関学大のレシーブで試合開始。ＲＢ田窪がリターンし、自陣２５ヤードからの攻撃となった。するとＱＢ奥野からＷＲ阿部へのパス、ＲＢ中村のランで連続でファーストダウンを獲得した。次のパスは失敗も、ＲＢ渡辺のランでゴール前２ヤードまで攻め込んだ。最初のＴＤランは止められたが、２分１０秒、中村がダイブしてＴＤを決めた。ＰＡＴキックも決まり、関学大が７点を先制した。
対する早大は自陣３１ヤードからエースＷＲブレナン翼のランで反撃開始。８ヤード進むとＱＢ柴崎のキープランでファーストダウンを獲得した。次の攻撃で柴崎が相手ＤＬ三笠にＱＢサックされてしまうが、ＷＲ遠藤へロングパスを決め、敵陣２１ヤードでファーストダウンを更新した。続く連続ランでゴール前１０ヤードに迫ると、６分４４秒、ＲＢ元山が左に走って７ヤードのＴＤを決めた。ＰＡＴキックも決まり、早大が同点に追い付いた。
関学大は自陣２６ヤードからの攻撃。しかし、第３ダウンで相手ＤＬ斉川にパスカットされ、攻撃は続かない。一方の早大もブレナンへのパスで前進したが、相手ＤＢ畑中にインターセプトされてしまう。
関学大の自陣４０ヤードからの攻撃に変わるが、フォルススタートで５ヤード罰退。しかし、ＱＢ奥野のスクランブルランと早大のレイトヒットの反則で、関学大はファーストダウンを獲得した。ＱＢが光藤に代わって、ＲＢ三宅のラン攻撃。ゴール前３ヤードに迫った。早大はタイムアウト。関学大はさらに１ヤードまで進んだが、続く２度のダイブ攻撃を止められ、タイムアウト後にＦＧを選択。すると１３分２２秒、Ｋ安藤が２１ヤードを決めた。これで関学の１０―７となった。
早大は自陣２２ヤードからの攻撃。３度のパスは失敗に終わり、パントを選択せざるを得なくなった。対する関学大は自陣４３ヤードからの攻撃。ＱＢ奥野が再び登場し、パス失敗の後、キープランで敵陣４１ヤードまで前進した。そして、最初のラン攻撃後、第１Ｑが終了した。
【第２クオーター】
関学大は敵陣３９ヤード最初の攻撃で、２０ヤード以内のレッドゾーンまで前進。さらにゴール前に迫り、３分９秒、Ｋ安藤が２２ヤードのＦＧを決めた。得点は関学大の１３―７となった。
早大は自陣２３ヤードからの攻撃。しかし、柴崎が相手ＤＬ齋藤にＱＢサックされてしまう。さらにパントをブロックされると、相手ＬＢ海崎にボールを押さえられ、ゴール前１ヤードで攻撃権を渡してしまう。
関学大は２度のダイブ失敗後、１０番ＱＢ光藤が自身でゴールへ走り込んだ。６分１３秒、ＰＡＴキックも決まり、関学大が２０―７とリードを広げた。
早大はＱＢ柴崎がパスとラン攻撃を見せるが、なかなか前進できない。ブレナンへのパスも１ヤード足らず、ファーストダウンは獲得できない。
代わった関学大は自陣１６ヤードからの攻撃。ＲＢ中村のランでファーストダウンを獲得したが、反則で５ヤード罰退してしまう。しかし、その後も中村のランで中央突破し、自陣４８ヤードまで前進した。さらに６番渡辺のランで敵陣３２ヤードまで進んだが、ホールディングの反則で１０ヤード罰退してしまう。しかし、ここで関学大はＲＢ三宅が中央をぬけて４１ヤードのＴＤラン。ＰＡＴキックも決まり、リードを２０点差に広げた。
早大は自陣３２ヤードからの攻撃。ファーストダウンを獲得すると、その後、柴崎からブレナンへのパスで敵陣３２ヤードまで前進した。しかし、早大は前半残り４１秒、第４ダウン残り３ヤードでギャンブル選択も、柴崎のパスは相手ＤＬ三笠にインターセプトされてしまう。
関学大は自陣４５ヤードから、ＱＢ西野のパス攻撃で前進。前半残り４秒から４６ヤードのＴＤパスを狙うも、不成功。ここで前半が終了した。
◆関学大・鳥内監督 立ち上がりにうまく点が取れた。ディフェンスラインも頑張ってくれた。ラッシュが効いている。
◆早大・高岡監督 苦戦は予想していたが、想定より厳しい状況。パスのリズムが出ていない。後半修正して３人のレシーバーをうまく使っていきたい。
【第３クオーター】
関学大のキックオフ、早大ＷＲ遠藤のリターンで試合再開。早大は自陣２１ヤードからの攻撃で、ＱＢ柴崎からブレナンへのパスでファーストダウンを獲得した。すると、第４ダウンギャンブルのパスでファーストダウンを更新したが、フォルススタートの反則で５ヤード罰退してしまう。その後、パスで前進、残り１ヤードから再びギャンブルを試みるが、ＲＢ片岡のランを相手ＬＢ海崎止められてしまう。
関学大は自陣３９ヤードからＱＢ奥野のパスとＲＢ三宅のランで、連続ファーストダウンを獲得した。しかし、奥野が相手ＤＬ古田にＱＢサックされてしまう。代わって早大は、相手好パントで自陣３ヤードからの攻撃。ランを見せるが、前進できない。
関学大は自陣４７ヤードからの攻撃。ＱＢ奥野のプレーアクションパスでファーストダウンを獲得した。さらにパスでゴール前１ヤードに迫ると、１２分４秒、ＱＢ光藤がＴＥ対馬へＴＤパスを決めた。ＰＡＴキックも決まり、関学大のリードは２７点となった。
早大は厳しい場面からビッグプレーが飛び出す。ＱＢ柴崎からパスを受けたＷＲ遠藤がゴールまで走り抜けた。６６ヤードのＴＤパス成功。ＰＡＴキックも１３分３秒、早大が点差を２０点に戻した。
関学大の攻撃に代わり、ファーストダウンを獲得すると、関学大は次のプレーで時計を進め、第３Ｑが終了した。
【第４クオーター】
関学大は敵陣３６ヤードからの攻撃で、ＱＢ光藤がキープランで９ヤード前進。さらにＲＢ中村のラン、光藤のランでファーストダウンを連続更新した。そして、ゴール前１１ヤードからランでじりじりとエンドゾーンに迫ると、３分５４秒、Ｋ安藤が２５ヤードのＦＧを決め、３７―１４とした。
早大はブレナンがリターンするも、地面に足を取られて自陣２０ヤードからの攻撃。しかし、第３ダウンコンバージョンで早大は柴崎からブレナンへのパスが決まり、ファーストダウンを獲得した。さらに更新を続け、敵陣１５ヤードまで攻め込むが、ＱＢ柴崎のパスは３度とも不成功。第４ダウンギャンブルで柴崎は左エンドゾーンのブレナンにＴＤパスを試みるが、無情にもボールは頭上を越えた。
関学大攻撃権を得ると、ランとパスを織り交ぜながら時計を進める。試合時間は残り５分を切って、第４ダウンはロングパントを選択した。早大は残り４分１４秒で、自陣２４ヤードからの攻撃。ＱＢ柴崎のパスでファーストダウンを獲得した。そして、残り２分半でブレナンへのパス。ファーストダウンを獲得すると、残り１分３６秒、柴崎からＷＲ遠藤への２５ヤードのＴＤパスが決まった。そして、早大は２点コンバージョンパスを狙うも失敗。得点は関学大の３７―２０となった。
残り１分３４秒、敵陣４５ヤードからの攻撃で、関学大はＱＢ西野からＷＲ阿部へのパスで敵陣１１ヤードまで迫る。残り５２秒で早大はタイムアウト。そしてボールが進んだところで早大が残り４６秒と残り２６秒にタイムアウトを取った。ここで関学大はケガでベンチを温めていたエースＲＢ山口をフィールドに入れた。プレーには絡まない位置でチームメートと試合出場を共有した。最後は早大が残り２３秒で攻撃権を得たが、為す術はなかった。
◆関学大・鳥内監督 学生たちが一生懸命頑張ってくれた。勝てて良かった。向こうは強いオフェンスを持っており、０点に抑えるのは無理。同点に追い付かれてもベンチは浮き足立つことなしに、先手を取れたのでリズムができた。早大のディフェンスが強くてパスを投げられない状況で、奥野がうまくスクランブルで走ってくれた。みんなそれぞれ持ち味を出してくれた。残りひと月くらいでいろいろなポジションでメキメキ力を付けてくれた。ライスボウルでも勝てるように頑張りたい。
◆関学大主将ＱＢ光藤 自分たちが１年やり続けたことをやるだけだった。ＴＤはチーム全員が取ってくれた。ライスボウルは絶対に勝って真の日本一になりたい。チャレンジャーとして恥じないプレーをする。
◆関学大ＱＢ奥野 パスラッシュはＯＬが守ってくれたので、しっかり投げられた。ランはレシーバー陣がいいキャッチをしてＬＢが下がったので、僕が走れた。こんな１年間はもうないと思う。僕自身いろいろ勉強になって、良い経験ができた。ミルズ杯はうれしい。ライスボウルでは自分やるべきことをやって、社会人に勝てるよう、残りの練習で４回生といる期間をしっかり大切にして、挑みたい。
（日刊スポーツ新聞社 吉池 彰）