社会人王者富士通フロンティアーズが３年連続４度目の日本一に輝いた。３年連続４度目出場の富士通は、２年ぶり１２度目の出場で１７年ぶり２度目の日本一を目指した関学大ファイターズを、５２―１７で圧倒した。富士通はライスボウル無敗記録を４試合に伸ばした。
過去２度の対戦では富士通が、２０１５年３３―２４、２０１７年３０―１３で勝利しており、今回も関学大の雪辱は成らなかった。
これで社会人は１０連勝。対戦成績は社会人の２４勝１２敗となった。最優秀選手賞には、先制と中押しのＴＤラン２本を決めた富士通のＲＢトラショーン・ニクソン（２６）が輝いた。ニクソンは日本社会人選手権ジャパンＸボウルに続くＭＶＰ獲得となった。
ミュージカル界屈指の歌姫として活躍中の新妻聖子さんの国歌独唱で第７２回のライスボウルの幕が開きました。
【第１クオーター】
コイントスに勝った富士通がレシーブを選択。ＷＲ宜本慎平がフェアキャッチ、自陣２５ヤード地点からの攻撃となった。初めはＱＢバードソンがパスの態勢も関学大ＬＢ海崎がタックル、３ヤードロスしてしまう。次はＲＢニクソンのランで９ヤード前進したが、ＷＲ中村へのパスは不成功に終わった。
代わった関学大の攻撃は自陣３７ヤードから。ＱＢ奥野のパスは不成功で、続くＲＢ三宅のランも１ヤードしか前進できず、次のパスも不成功となった。
富士通の攻撃に代わり、自陣２０ヤードからＱＢバードソンがＴＥ福井にハンドオフしたが、関学大ＬＢ海崎に１０ヤードのロスタックルを食らってしまう。するとバードソンはスクランブルラン。１３ヤード進み、さらにＷＲ森田へのパスでファーストダウンを獲得した。するとニクソンが中央を突破。自陣４９ヤードまで進み、ファーストダウンを更新した。しかし、ＷＲ宜本潤平へのパスは失敗、さらにニクソンが海崎に２ヤードのロスタックルを浴びてしまう。さらなるパスも不成功で、攻撃権は関学大に移った。
関学大は自陣１８ヤードからＱＢ奥野がＲＢ渡辺のランを選択も、富士通ＤＢ樋田に２ヤードのロスタックルをされてしまう。次のパスは不成功。ＲＢ中村のランも前進できない。
富士通の攻撃は自陣４３ヤードから。するとＲＢニクソンのランで６ヤード前進した。しかし、続くパスは２度不成功に終わってしまう。
富士通のパントがタッチバックとなって、関学大の攻撃は自陣２０ヤードから。最初のＲＢ三宅のランはノーゲイン。ＲＢ中村へのパスで４ヤード進むも、次のパスは不成功に終わってしまう。
富士通の攻撃は自陣３６ヤードから。ＲＢニクソンの連続ランでファーストダウンを獲得した。さらにニクソンのランで敵陣４４ヤードまで進むと、ＱＢバードソンからＷＲ中村への１７ヤードパスが決まり、ファーストダウンを更新した。そして、敵陣２７ヤードから富士通はニクソンが中央突破。ゴール前１４ヤードでファーストダウンを更新した。さらにニクソンのランでゴール前３ヤードへ。すると最後もニクソンがエンドゾーン中央へ走り込んだ。１２分５５秒、Ｋ西村のＰＡＴキックも決まり、富士通が７点を先制した。
◆富士通ＲＢトラショーン・ニクソン 関学のディフェンスのプレッシャーはあったが、オフェンスラインがしっかりブロックしてくれたところを、走るだけで結果が出た。
◆富士通ＯＬ勝山晃 シーズンを通して１プレー１プレーに集中してきたが、それを貫き通せた。オフェンスラインでランを出せる。今季代わったＱＢ、ＲＢがうまく順応してくれた。
関学大の攻撃は自陣２５ヤードから。ＱＢ奥野はパスターゲットを探すが、富士通ＤＢ石井にパスインターセプトされてしまう。そして、そのままエンドゾーンまで３５ヤード運ばれてＴＤ。１３分１２秒、Ｋ西村のＰＡＴキックも決まり、富士通が１４―０とリードを広げた。
◆富士通ＤＢ石井悠貴 樋田さんがパスカットしたボールが、たまたま飛んできた。キャッチしたらゴールまで一直線の道が見えた。ＴＤできて気持ち良かった。２０１４年パールボウルのオービック戦以来、２度目のＴＤとなった。立命館大出身で関学大には負け続けていたので、何とかしたかった。チームに良い雰囲気を持ってこられて、夢心地だった。
◆富士通ＤＢ樋田祥一 レシーバーとＱＢの動きを見て手を出した。本当はキャッチしたかった。でも、序盤でこっちに流れを持って来られた。
関学大はＲＢ三宅がリターンし、自陣２８ヤードからの攻撃。するとＱＢ西野が連続キープランでファーストダウンを獲得した。さらに西野からＷＲ阿部への１６ヤードパスが決まり、敵陣４０ヤード地点でファーストダウンを更新した。そして、ＲＢ三宅が４ヤード走ったところで第１Ｑが終了した。
【第２クオーター】
関学大の攻撃は敵陣３６ヤードから。第２ダウンでのＱＢ西野のパスは不成功も、次のパスを富士通がパスインターフェアランスの反則。１５ヤード罰退となり、関学大がファーストダウンを獲得した。しかし、関学大もここで痛い反則。フォルススタートで５ヤード罰退してしまう。ところが、次のＴＥ対馬への８ヤードパスで敵陣１８ヤードまで前進。ＱＢ光藤のパスは不成功も、ＱＢ奥野からＷＲ松井への１２ヤードパスが決まり、ゴール前６ヤードでファーストダウンを獲得した。さらに三宅のランで２ヤードまで進むと、最後はＷＲ小田がエンドゾーン右へ走り込んだ。Ｋ安藤のＰＡＴキックも決まり、２分７秒、関学大が７点を返した。得点は富士通の１４―７と変わった。
富士通の攻撃は自陣３２ヤードから。ＱＢバードソンからＷＲ中村へのパスでファーストダウンを獲得した。さらに中村へのパスで６ヤード進むと、ＲＢニクソンが１０ヤード走ってファーストダウンを更新した。敵陣４６ヤードまで進んだ富士通は、ＲＢ金が中央突破、同２７ヤードまで前進した。そして、ＷＲ強へのパスで３ヤード、金のランで３ヤード進むと、今度はバードソンから中村への１６ヤードパスが決まり、ゴール前５ヤードまで進んだ。しかし、中村へのＴＤパスは不成功、ニクソンの中央突破も不成功となり、バードソンも関学大ディフェンス陣のプレッシャーでパスが投げられない。それでも、富士通は７分１４秒、Ｋ西村が２２ヤードのＦＧを成功させ、１７―７とした。
関学大の攻撃は自陣２５ヤードから。ＱＢ奥野からＷＲ阿部、ＷＲ小田への連続パスでファーストダウンを獲得した。続く奥野のキープランの前進は２ヤードも、奥野からＷＲ松井への２５ヤードパスで敵陣３２ヤードまで進んだ。さらに１ヤード進むが、小田へのパスは不成功、しかも、フォルススタートの反則で５ヤード罰退となる。しかし、奥野のスクランブルランで１０ヤード前進すると、１０分４０秒、Ｋ安藤が４３ヤードのＦＧを決めた。関学大が３点を返し、得点は富士通の１７―１０に変わった。
富士通の攻撃は自陣２５ヤードから。するとＲＢニクソンが左サイドを４２ヤード走り、敵陣３３ヤード地点でファーストダウンを獲得した。さらに敵陣２５ヤードまで進むと、ＱＢバードソンが２３ヤードのスクランブルラン。ゴール前２ヤードに迫った。すると最後はニクソンが中央をジャンプしてＴＤランを決めた。１２分３７秒、Ｋ西村のＰＡＴキックも決まり、富士通が２４―１０と再び１４点差とした。
代わって関学大の攻撃は自陣３１ヤードから。ＱＢ西野ははＲＢ前田を走らせるが、ゲインは１ヤード。すると、フォルススタートで５ヤード罰退してしまう。しかし、西野はキープランで４ヤード、さらに１１ヤード走ってファーストダウンを獲得した。ところが、ＷＲ阿部へのロングパスは不成功、ＲＢ前田のランも前進できない。すると西野が富士通ＤＬ藤谷から１ヤードのロスタックルを浴びてしまう。ここで前半が終了した。
ハーフタイムには2018年ジャパンカップを制した「創価ルネサンスバンガード」によるドリル演奏が披露された。
【第３クオーター】
関学大のレシーブで後半の試合再開。ＷＲ小田が自陣２１ヤードまでリターンした。そこからＱＢ奥野はＲＢ渡辺を走らせるが、富士通ＬＢ竹内に止められ、３ヤードロスしてしまう。ここで富士通が交代違反で５ヤードの罰退。すると奥野からＷＲ山下への１６ヤードパスでファーストダウンを獲得した。しかし、続くロングパスは富士通ＤＢアディヤミにカバーされ、不成功。代わったＱＢ光藤のランは５ヤードロスしてしまう。
富士通の攻撃は自陣２０ヤードから。するとＲＢニクソンが中央を連続突破。１５ヤードと１６ヤードを走って、ファーストダウンを連続で獲得した。そして、敵陣４９ヤードからＷＲ猪熊へのパスで９ヤード前進すると、ＲＢ金が４０ヤードのＴＤランを決めた。３分４０秒、Ｋ西村のＰＡＴキックも決まり、富士通が３１―１０とリードを広げた。
関学大の攻撃は自陣２５ヤードから。ＱＢ奥野がＷＲ鈴木へ６ヤードのパスで前進したが、代わったＱＢ西野のパスは不成功。すると奥野のパスも不成功に終わってしまう。
富士通はＷＲ猪熊が自陣４３ヤードまでリターン。するとＲＢニクソンのランで７ヤード前進した。しかし、次のニクソンのランは関学大ＤＬ三笠に止められてしまう。それでもＱＢバードソンからＷＲ森田へのパスでファーストダウンを獲得した。しかし、その後の攻撃は続かない。
関学大の攻撃は自陣８ヤードから。ＱＢ奥野はスクランブルランで９ヤード前進。さらにＱＢ西野のランでファーストダウンを獲得した。しかし、奥野のパスは富士通ＬＢ竹内にインターセプトされてしまう。
◆富士通ＬＢ竹内修平 ＱＢの目が見えて縦目に下がったら、ドンピシャに来た。ボウルゲームでのインターセプトは初めてでかなり良い気持ちだった。でも、本音はタッチダウンにしたかった。来年はオービックの４連覇の壁を登りきって、再来年に史上初の５連覇を目指したい。そのためには自分自身もっともっと成長したい。
富士通の敵陣１０ヤードから攻撃に代わり、ＲＢニクソンが３ヤード走ると、最後はＱＢバードソンからＷＲ猪熊への７ヤードＴＤパスが決まった。９分２７秒、Ｋ西村のＰＡＴキックも決まり、富士通が３８―１０とした。
関学大の攻撃は自陣２１ヤードから。ＱＢ西野がＲＢ中村にパスして２ヤード前進したが、続く２度のパスは不成功に終わってしまう。
代わった富士通は自陣３２ヤードからの攻撃。しかし、ＲＢニクソンが関学大ＤＢ西原に６ヤードのロスタックルを食らってしまう。次のランの前進は１ヤード、パスは不成功で、富士通はパントを選択した。
関学大の攻撃は自陣２９ヤード地点から。ＱＢ奥野からＷＲ小田へのパスで５ヤード進むも、ＴＥ対馬へのパスは失敗。ＲＢ中村へのパスは成功したが、ファーストダウンを獲得できない。
富士通は自陣４４ヤードからの攻撃。するとＱＢバードソンが９ヤードのキープラン、ＲＢニクソンが１９ヤードのランを見せ、敵陣２８ヤードでファーストダウンを獲得した。バードソンからＷＲ強へＴＤパスは不成功に終わったが、タイムアウト後にニクソンが中央突破。９ヤード進むと、バードソンの４ヤードランでファーストダウンを更新した。すると、ＷＲ森田へ１５ヤードのＴＤパスが決まった。１５分ちょうどにＫ西村のＰＡＴキックも決まり、富士通が４５―１０と３５点差をつけた。ここで第３Ｑが終了した。
【第４クオーター】
富士通Ｋ西村のキックで試合再開。関学大の自陣２５ヤードからの攻撃に代わった。一矢報いたい関学大は、ＱＢ奥野がＷＲ松井への２７ヤードのロングパスを決め、ファーストダウンを獲得した。さらにＲＢ三宅への１３ヤードパスでファーストダウンを更新すると、敵陣３５ヤードからＴＥ対馬への１０ヤードパスでファーストダウンを更新した。関学大はドロープレーを見せるが、ゲインは１ヤード。さらにＱＢ西野が富士通ＬＢ太田に３ヤードのロスタックル、奥野はＤＬ南に６ヤードのロスタックルをされてしまう。このプレーで奥野が負傷し、ベンチに下がった関学大は第４ダウンギャンブルを見せるが、ＱＢ西野がＤＬ藤谷にサックされてしまう。
富士通の攻撃は自陣４４ヤードから。代わったＱＢ高木のパスでファーストダウンを獲得すると、敵陣４４ヤードから富士通は、ＷＲ柴田への８ヤードパスとＲＢ神山の５ヤードランでファーストダウンを更新した。さらに高木のキープランで前進。ＲＢ後藤の１８ヤードランでファーストダウンを更新した。そして、ゴールまで７ヤードに迫ると高木からＷＲ宜本慎平へのＴＤパスが決まった。６分５０秒、Ｋ西村のＰＡＴキックも決まり、富士通が５２―１０とした。
関学大は自陣２１ヤードからの攻撃。ＱＢ西野からＷＲ松井への１２ヤードパスでファーストダウンを獲得した。続くＷＲ小田へのロングパスは不成功も、ＱＢ光藤がキープランで８ヤード前進し、ＴＥ対馬へのパスでファーストダウンを更新した。試合時間は残り６分４１秒、関学大はＱＢ西野の最初のパスが不成功後、ＲＢ渡辺のランで前進も次の攻撃は失敗。さらに第４ダウンギャンブルは、ＱＢ西野が富士通ＤＬ高橋に３ヤードのロスタックルをされ、不成功に終わった。
富士通の攻撃は敵陣４８ヤードから。ＱＢは平本に代わり、ＷＲ宜本潤平、慎平兄弟へのパスでファーストダウンを獲得した。しかし、第４ダウンギャンブルのパスが不成功となり、その後の攻撃は続かない。
関学大の攻撃は自陣３１ヤードから。ＱＢ西野からＲＢ中村への連続パスでファーストダウンを獲得した。さらにＲＢ三宅が１１ヤード走り、ファーストダウンを更新した。次も三宅のランで４ヤード進むと、西野からＷＲ小田への１８ヤードパスでファーストダウンを更新した。敵陣２２ヤードからの攻撃で、残り時間は１分３５秒。ＱＢ光藤からＷＲ鈴木への７ヤードパスでゴール前１３ヤードに進むと、ＲＢ三宅の９ヤードランでゴール前４ヤードへ。最後は光藤がエンドゾーンへ走り込んだ。残り４５秒、Ｋ安藤のＰＡＴキックも決まり、関学大が７点を返した。得点は富士通の５２―１７となった。
関学大はオンサイドキックを押さえ、自陣４６ヤードで攻撃権を維持。ディレイオブゲームの反則後、ＱＢ西野からＷＲ山下への１８ヤードパスでファーストダウンを獲得した。西野はボールをスパイクして時計を止め、次のパスを失敗するも、ＷＲ大村へのパスでファーストダウンを更新した。残り１４秒で関学大はタイムアウト。さらにＴＥ対馬へのパスで８ヤード前進も、ファーストダウンを獲得できない。残り４秒で関学大はタイムアウト。最後のプレーはＴＤパスを試みたが、不成功に終わり、試合終了となった。この結果、富士通が３年連続４度目の日本一の座を獲得した。
◆富士通・藤田智ヘッドコーチ 勝ててホッとしている。点数はこうなったが、関学大のりっぱな戦いぶりにおされた。選手が最後まで集中力を欠かさずにやってくれた。応援が心強かった。
◆富士通ＷＲ宜本潤平主将 勝てばみんなのおかげ、負ければ僕のせいなので、勝てて正直ホッとしている。でも、今日はフィジカルの差があったので、ミスさえなければ、と思っていた。ＯＬとＲＢは今年のウチの強みを出せた。自分のプレーはダメだったが、兄のＴＤで、もどかしい気持ちが、うれしさに変わった。
◆関学大・鳥内秀晃監督 ディフェンスが崩壊してフットボールができなかった。あれだけ進まれたら、戦術にならない。一生懸命に勝負しようとやってきたが、この結果はしょうがない。
◆関学大ＱＢ光藤航哉主将 しっかり準備してきたことを出せたところと出せないところがあった。正直悔しい。ディフェンスは頑張ってくれたが、オフェンスは自分たちの中で少し焦りがあった。ライスボウルに勝って日本一になれなかったことに、自分の力のなさを感じる。
◆関学大ＱＢ奥野耕世 自分のミスも出たが、力の差を感じた。１対１で今までかわせた部分も圧倒された。スピード感とうまさが違う。ＱＢの目線を見て、ＬＢが動くスピード、フィジカルを感じた。インターセプトされたのは、ターゲットが空いていなかったのに、決めにいこうとし過ぎた。でもパスが通ったプレーは負けていない。昨年５月からいろんな人に助けてもらった。今度は上級生になるので、自分がしてもらったことを恩返ししたい。
MVPを獲得した富士通RB ニクソン・トラショーン
（日刊スポーツ新聞社吉池彰）