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富士通フロンティアーズ悲願の初優勝 ライスボウル出場を決める

富士通フロンティアーズ悲願の初優勝 ライスボウル出場を決める

2年連続6度目出場の富士通フロンティアーズが、44―10で初出場のIBMビッグブルーを下し、悲願の初優勝を飾った。
富士通は試合開始早々、DB三木のインターセプトTDで先制した。すると、前半は今春新加入のQBキャメロンが、後半は昨年までのエースQB平本がゲームをコントロール。RBゴードンに前後半各2TDの合計4TDをマークさせた。MVPにはゴードンが選ばれた。
富士通は来年1月3日の日本選手権「ライスボウル」(東京ドーム)で、学生王者の関西学院大学ファイターズと対戦する。

【試合記録はこちら】

【第1クオーター】

ハーフタイムショー特別ゲストのMAXがコイントス。その結果、IBMのレシーブで試合開始となった。最初の攻撃でIBMはQBクラフトからTEスタントンへのパスがなどでファーストダウンを獲得した。しかし、開始1分39秒、富士通DB三木がクラフトのパスをインターセプト。そのまま45ヤードを走って先制TDを決めた。K西村のキックも成功し、富士通が7―0とした。

◆富士通DB三木 パスはショートコースが多かったので、(インターセプトを)狙っていた。

◆富士通DB今井(主将) 三木は期待通りによくやってくれた。ゲームを作ってくれた。

◆IBM・QBクラフト 最初のインターセプトがこのゲームのターニングポイント。ターンオーバーが多かった。研究されていた。

続く攻撃でIBMはクラフトがパスとスクランブルラン、上広へのパスでファーストダウンを獲得した。しかし、得点に至らず、攻守交代となった。

一方、富士通は最初の攻撃シリーズは、QBキャメロンのパスが中心。WR強、中村へのパスで前進した。そして、RB高野橋のランでファーストダウンを獲得。しかし、IBMブルックスらの圧力でTDには持ち込めない。すると6分57秒、K西村が47ヤードのFGを決めた。

さらに富士通はLB浦川がパスをインターセプト。敵陣12ヤードまで運ぶと、7分25秒、RBゴードンが右サイドを走って、エンドゾーンぎりぎりにTDを決めた。しかし、K西村のTFPはIBMのDLブルックスにブロックされ、得点は16―0にとどまった。

対するIBMは、クラフトからTEスタントンへのパスで前進するも、次のプレーで富士通DLフリンにクラフトがサックされてしまう。

また、富士通はキャメロンからWR成田へのパス、高野橋のランでファーストダウンを獲得したが、強へのパスの後、エンドゾーンへ走り込んだWR中村への44ヤードパスは、カットされてしまう。

続くIBMは自陣8ヤードから攻撃。QBクラフトからRB高木へのパス、TEスタントンへのパスで連続でファーストダウンを獲得した。しかし、WR栗原へのロングパスは不成功となり、攻守交代した。

富士通は自陣33ヤードからの攻撃。キャメロンからWR宜本潤へのパスで50ヤードまで前進した。しかし、強へのパスは不成功、キャメロンのスクランブルでもファーストダウン獲得はできなかった。

【第2クオーター】

早く得点したいIBMはQBクラフトから栗原へのパスで敵陣30ヤードまで攻め込む。さらに末吉のランで同20ヤードへ進んだ。次の栗原へのパスは不成功となったが、WR原のパスで11ヤードまで前進。さらにTEスタントンへのパスでゴールまで5ヤードへ迫った。3分2秒、クラフトからWR小川へのTDパスが決まり、IBMは7―16とした。

◆IBM・WR小川 タッチダウンを決めて追い上げた時は、波に乗っていけるかなと思った。でも、富士通は予想通り強かった。

富士通はRB神山が自陣28ヤードまでリターン。さらなる神山のランでの前進をIBMのLB岸本がタックルで阻むが、QBキャメロンはパスに切り替えてファーストダウンを獲得した。すると今度はゴードンを走らせ11ヤード前進。敵陣40ヤードまで進んだ。キャメロンはWR成田へパスしたが、ゲインは5ヤード。4thダウンギャンブルも不成功に終わった。

攻撃権を得たIBMはクラフトが栗原へのパスでファーストダウンを獲得した。しかし、敵陣37ヤードからクラフトのパスは富士通DBアディヤミがインターセプト。そのまま敵陣46ヤードまで持ち込んだ。そして、WR中村へのパスで34ヤードまで進むと、さらに中村へのパス、ゴードンのランでゴール前2ヤードへ。富士通はそこからゴードンが10分0秒、左エンドゾーンへTDランを決めた。

再び16点差を追うことになったIBMは、クラフトから栗原へのパスなどで敵陣39ヤードまで進む。さらにクラフトが11ヤード走って前進した。しかし、同26ヤードからのクラフトのパスは富士通DB石井に、あわやインターセプトされそうになり、IBM山田ヘッドコーチはたまらずタイムアウト。しかし、次のプレーでクラフトがLB鈴木につかまってしまう。さらに、K小田倉の47ヤードFGトライは富士通DL安井にブロックされ、無得点に終わった。
気持ちを切らせたくないIBMは、DLブルックスがキャメロンをサック。陣地を11ヤード挽回するが、ここで前半は終了。富士通の16点リードで折り返した。

【第3クオーター】

富士通はパスを受けたWR宜本潤平が左サイドを走って、ゴール前へ前進。すると3分12秒、RBゴードンが5ヤードTDランを決めた。

対するIBMはTEスタントンが自陣37ヤードまで前進したが、富士通DLフリンのQBサックで5ヤードロスしてしまう。

富士通はQB平本で攻撃するが、ファーストダウンを獲得には至らない。攻撃権を得たIBMは、QBクラフトが右サイドを走り、敵陣47ヤードまで前進。すると富士通がレイトヒットの反則を犯す。富士通の15ヤード罰退で32ヤードまで進むが、富士通ディフェンスの圧力もあってクラフトのパスは3連続不成功。IBMはタイムアウトの後、キックと見せてパスを狙ったが、またも富士通DB三木にインターセプトされてしまう。

IBMは交代出場のQB多川からWR上広らへのパスで連続でファーストダウンを更新。多川のキープ、RB末吉のランでさらにファーストダウンを獲得。17ヤードまで迫るも、フリンのQBサックで14ヤードロスしてしまう。さらにLB鈴木のタックルでロスしたが、IBMは14分15秒、K小田倉が45ヤードFGを成功させ、3点を返した。

◆IBM・QB多川 ケビンと試合中も話して、いつ自分が出てもいいように気持ちは作っていた。狙うべきところも分かっていて、最初はうまくできたが、最後に決めきれなかったのは悔しい。来年もXボウルを目標にして、もう少し長くフィールドに立ちたいし攻撃を組み立てられるようにしたい。

【第4クオーター】

20点リードで最終Qを迎えた富士通。QB平本からWR強へのロングパスで敵陣43ヤードへ進んだ。ゴードンのランでさらに前進したが、ホールディングの反則で10ヤード罰退。しかし、WR中村への33ヤードパスが決まり、敵陣12ヤード地点へ。富士通はさらに5ヤード進むと、4分9秒、平本からWR強盛への7ヤードTDパスが決まった。

◆富士通QB平本 モメンタムはウチにあったので、インターセプト、ファンブルといった試合を崩すプレーをしないよう意識した。

◆富士通WR強 平本は同期入社で、考えていることが分かる。絶対に(パスが)飛んでくると思った。来たら捕るだけ。それだけを考えていた。

残り10分余りで27点を追うことになったIBM。QBクラフトのスクランブルなどでファーストダウンを獲得したが、続く攻撃で富士通LB浦川にボールをスチールされてしまう。

リズムに乗った富士通は敵陣奥深く前進。IBMのDB中谷に一度は阻まれるが、10分36秒、ゴードンがこの日4本目となる11ヤードTDランを決めた。

◆富士通RBゴードン(MVP) チームのみんな、とくにOLに感謝している。IBMディフェンスはパワフルだったが、OLが守ってくれた。チームは家族といつも話しているので、(MVP受賞は)みんなにささげたい。

一矢報いたいIBM。QB多川がスクランブルで敵陣42ヤードまで前進。さらに5ヤード進むが、富士通LB竹内にサックされてしまう。4thダウン6ででIBMはギャンブル。末吉のランでファーストダウンを獲得した。残り時間は33秒で、2ndダウン1。原へのパスでゴールまで12ヤードに迫る。QB多川のキープで残り16秒、ゴールまで1ヤードとするが、ディレイオブゲームの反則で5ヤード罰退。残り6ヤードからQB多川のエンドゾーンへのパスは不成功に終わった。残り12秒から最後のプレーで時計が進み、試合終了。富士通が6度目の挑戦で初めて、社会人王座に就いた。

◆富士通DB今井(主将) 最後の最後まで戦い続けるのが、自分たちのフットボール。ライスボウルに向けては、最後まで成長したい。このメンバーでできるのは、あと2週間あまりなので、良いプレーで終わりたい。

◆富士通WR中村 とにかく勝てて良かった。ジャパンXボウルでの初TDが持ち越しで悔しいが、あと1試合で、このリベンジをしたい。

◆富士通・藤田HC 今まで何回もチャンスがありながら、(優勝を)つかみきれていなかったので、本当にうれしい。ディフェンスが良かったので、崩れずにゲームできた。QB平本は良いプレーで期待に応えてくれた。ライスボウルについては、まだ考えていなかった。(関学大の)VTRを見て、準備して、しっかりやりたい。

◆IBM山田HC 力の差があるなと思った。歴史の差かな。

◆IBM・TEスタントン(主将) (負けた)この瞬間は悲しく、悔しい。でも、このチームは誇りに思うし、ここまで来られたのは勝利に値する。来年また決勝に出て、勝ちたい。
(日刊スポーツ 吉池 彰)