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★西の名門同士が激突。

 アメリカンフットボール日本選手権プルデンシャル生命杯「第69回ライスボウル」は1月3日午後2時、東京ドームでキックオフされる。対戦は、7年ぶり7度目の出場で4度目の優勝を狙うパナソニックインパルスと、5年ぶり8度目の出場で7年ぶり4度目の日本一を目指す立命大パンサーズ。6年連続で社会人が勝利しているが、前回2009年の対戦では立命大が17―13で勝利しており、今回はどんな結果になるか注目される。

★最大の注目は立命大RB西村とパナソニック守備陣との対決

 ディフェンスとランプレーが看板の両チーム。パナソニックのLB高山直也主将(30=近大)は「立命大はウチと似ている。だから今までやってきたこと、ファンダメンタル(基礎)をしっかりして、全員フットボールで戦う必要がある」と話す。
 高山の言うポイントは「いかに立命大RB西村(七斗=2年)を止めるか」。「スペースを空けるとやられてしまう。しっかり穴を縮めて集まることが大事。気持ちのこもったつぶしをやる」。それにはパナソニック自慢の「全員守備」が欠かせない。46歳の鉄人・脇坂康生(日大)がまとめるDL陣は、デイビッド・モトゥ(25=日大)が力を付け、本場米国からカールトン・ジョーンズ(23=アラバマ州立大)が新加入した。その後方にはジャパンXボウルでインターセプトを決めたLB相馬明宣副将(27=立命大)、DBエモリー・ポーリー(22=米ブラウン大)が控える。いかにミルズ杯と甲子園ボウルMVPに輝く西村といえ、易々と突破は許さない構えだ。

★立命大OLが機能できるかが、学生7年ぶり優勝のカギを握る

 鉄壁のパナソニックディフェンスを、西村、長谷川航平(4年)らの立命大RBが切り裂くには、OLの奮戦が必要になる。遠藤慶人副将(4年)は「4回生のブロックで余裕を持たせたい。そうしないと西村も、QBの西山(雄斗=2年)ものびのびプレーできない。そうさせてあげるためにOLが一番元気を出していく」とやる気満々だ。その一方で「パナソニックのディフェンスはLB高山さんらアスリートぞろい。気を付ける人を挙げたらきりがない」と警戒する。そして「OLが貢献できたら、(RBが)走れるし、(QBが)投げられる。屋台骨としてしっかりやる」と約束した。

★パナソニックQB高田が花道を飾れるか

 脇坂とともに今季限りで現役を退く予定の、パナソニックQB高田鉄男(34=立命大)。「うれしいの一言」と母校との頂上決戦を心待ちにしている。今季のXリーグでは、ファイナルステージまでの8試合で139回投101回成功、1304ヤード、14TDを獲得した。しかも被インターセプトはゼロ。この安定ぶりはジャパンXボウルでも健在で、15回投10回成功、117ヤード、2TDをマーク。インターセプトなしで逆転勝ちに貢献した。ホットラインを形成するWR頓花達也(24)は立命大の後輩。OBコンビで、前回のリベンジに燃えている。

★立命大DL対パナソニックOL。ライン戦の勝者はどちらか

 この高田―頓花コンビに立ち向かうのが、立命大守備陣。米倉輝監督は「主将の田辺(大介=4年)、仲里(広章=4年)、松原(健太朗=3年)、大野(莞爾=3年)のライン対ラインを見てほしい」とDLの働きに期待を寄せる。田辺は「立命のパシュート(=ボールキャリアを追いかけること)を見せる。絶対にやり切り、魂を見せる。全てをやり切らないと勝つ可能性はゼロだと思う」と真っ向勝負を宣言した。
 立命大は今年の守備のスローガンを「ファイナルアンサー(答えを示す)」に決めた。「KG戦(関西学院大戦)、甲子園ボウルでは出せなかったディフェンスの最終の答えを出す。『これが立命のディフェンス』と胸を張って言えるように。今季対戦する一番強いOLに対し、しっかり勝負する」と田辺は言葉に力を込めた。

★パナソニックは「どこよりも泥臭く」

 その立命大DLについて、パナソニック荒木延祥監督は「仲里が強力だが、大野はスピードがあり、守備のキープレーヤーだと思う」と、若さあふれる早い動きを警戒する。「ブロックとタックルがフットボールの原点なので、そこで上回りたい。選手たちがのびのびやりながら、どこよりも泥臭くやるところを見てほしい」。前回の対戦では「立命の魂のこもったブロック、タックルに負けた」。「1年やってきたファンダメンタル(基礎)が上回れば勝ち、下なら負ける」。そう言って荒木監督は気を引き締めた。

★立命大は「先手必勝を狙う」

 対する立命大・米倉監督は「がっぷり組み合っては勝てない。しっかり仕掛けをする」と社会人を追い詰めた関学大の戦術も参考に策を練る。そして、「QB、RB、レシーバーは1、2年生で怖いモノ知らず。それを良い意味で出してほしい」と若さに期待を込めた。「前回(2009年)は最初にポンポン(点を)取って、ディフェンスが耐えた。今回も先手必勝だと思う」と、甲子園ボウルと同じ逃げ切り勝ちをもくろんでいる。