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 <アメリカンフットボール:日本選手権 プルデンシャル生命杯第68回ライスボウル:富士通33―24関学大>◇3日◇東京ドーム

 社会人王者富士通フロンティアーズが初出場で日本一に輝いた。4年連続10回目の出場で13年ぶり2度目の優勝を目指した学生王者の関西学院大学ファイターズを、33―24で退けた。
 富士通はエースQBコービー・キャメロンをケガで欠いたが、昨年までのエースQB平本恵也(28=日大)が奮戦。RBジーノ・ゴードン(26=米ハーバード大)が勝利につながる2TDを決めた。
 最優秀選手には、ゴードンが選ばれた。

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【第1クオーター】

 富士通K西村のキック、関学大のレシーブで試合開始。WR木戸がリターンし、自陣25ヤードからの攻撃となった。QB斎藤の最初のパスは不成功となったが、RB鷺野へのパスで5ヤード前進。さらに鷺野中心のスペシャルプレーで自陣37ヤードまで進み、ファーストダウンを獲得した。関学大はワイルドキャット・フォーメーションも見せて、敵陣45ヤードまで進んだが、QB斎藤は4thギャンブルと見せてパントを選択、攻守交代となった。
 富士通の攻撃はタッチバックの自陣20ヤードから。QB平本からWR中村のパスでファーストダウンを獲得した。そして、WR強へのパスで敵陣43ヤードまで進んでファーストダウンを更新。さらに平本のスクランブルなどで前進したが、次の更新までには至らなかった。そこでP吉田が素晴らしいキックで敵陣3ヤードにボールを運んだ。
 対する関学大はQB斎藤が50ヤードのロングパスで、敵陣に入り込む。さらにRB橋本のランで37ヤードまで進んで、ファーストダウンを獲得したが、斎藤からWR木戸へのパスはファーストダウンまで届かない。4thダウンギャンブルで、ワイルドキャットの木戸からRB鷺野へロングパスを試みるが、キャッチには至らなかった。
 続く富士通はQB平本からWR強へのパスでファーストダウンを獲得した。しかし、関学大DB田中が強へ圧力をかけ、連続パスは許さない。すると富士通はRBゴードンが走らせる。そして、3rdダウン1で富士通は最初のタイムアウト。WR宜本潤平への左エンドゾーンへのパスは不成功となったが、11分11秒、富士通はK西村が41ヤードのFGを成功させ、3―0と先制した。

 対する関学大は自陣36ヤードからの攻撃。同49ヤードまで進んでファーストダウンを獲得したが、パーソナルファウルで15ヤード罰退してしまう。しかし、QB斎藤がキープして左を走った後、WR森への47ヤードパスも決まってゴールまで8ヤードに迫った。そして、RB橋本が中央突破を試みるが、ゲインは3ヤード。すると斎藤はWR木下へのパスに切り替え、5ヤードTDパスに成功した。K三輪のTFPキックも決まり、関学大が7―3と逆転に成功した。

【第2クオーター】

 富士通はWR中村が敵陣30ヤードまでロングリターン。続く、RBゴードンのランは最初はノーゲインとなったが、次は同17ヤードまで進んでファーストダウンを獲得した。左エンドへのTDパスは不成功となったが、WR中村へのパス成功でゴールまでは3ヤード。すると、RBゴードンが左へスライドしながらTDランに成功した。K西村のキックも決まり、富士通が10―7と再びリードを奪った。

 関学大は自陣25ヤードからの攻撃。QB斎藤はパスを2度連続で失敗した。しかし、斎藤はあきらめずにパスを投げ、WR大園へのパスで敵陣33ヤードへ進んだ。そして、TE松島へのパスなどで同26ヤードまで進んだが、次の攻撃で斎藤が富士通DL岡本にタックルされてしまう。しかし、K三輪の46ヤードFGはポスト左に当たってゴールイン。これで点数は10―10の同点となった。
 富士通の攻撃も自陣25ヤードから。RB神山が連続で走り、同44ヤードまで進むと、WR強へのパスで敵陣48ヤードまで前進した。さらにファーストダウンを獲得。そしてスクリーンパスを試みるが、関学大LB小野に阻まれてしまう。しかし、富士通は次の攻撃で同36ヤードまで進んでファーストダウンを獲得。すると平本からWR秋山へのパス失敗後、8分43秒、K西村が47ヤードのFGに成功した。
 続く関学大の攻撃は自陣23ヤードから。QB斎藤が自ら26ヤード走ってファーストダウンを獲得した。RB鷺野のランで5ヤード進むと、WR木戸へのパスでファーストダウンを更新した。しかし、続くRB橋本の中央突破は成らず、さらに4thダウンギャンブルのパスも失敗。富士通の自陣32ヤードからの攻撃に変わった。
 富士通はQB平本からWR宜本潤平へのパス、RBゴードンのランでファーストダウンを獲得すると、さらに宜本潤平へのパスでファーストダウンを更新した。ボールは敵陣深く進み18ヤードへ。さらにゴードンのランで残りは1ヤード。右エンドへ走った中村へのパスは不成功、スクリーンパスも不成功となったところで、富士通は前半2回目のタイムアウト。すると前半残り14秒、再び右エンドへ走り込んだ中村へ、平本からのTDパスが決まった。K西村のキックも決まり、富士通は20―10でと10点リードして前半を終えた。

◆富士通WR中村輝晃クラーク ラッキー、いただきのTDだった。平本さんとは大学(日大)からやっているので、何となく意思疎通できる。今日は平本さんを男にしようと思っていたので、良かった。

◆富士通WR宜本潤平 学生はスピードが速いので、ブロックは手からなど基本をしっかりやった。1本長いパスは(スペースが)空いてるのを狙って取った。うまいこといった。

【第3クオーター】

 富士通のリターンはWR宜本潤平。自陣23ヤードからの攻撃となった。QB平本はWR強への14ヤードパス成功でファーストダウンを獲得したが、次のRBゴードンのランはDL松本のタックルで、2ヤードロスしてしまう。その後の攻撃も続かず、P吉田のパントで攻守交代となった。
 関学大の攻撃は自陣24ヤードから。RB橋本、QB斎藤が走り、ファーストダウンを獲得した。さらにTE松島へのパスで前進後、関学大は富士通のパスインターフェアで15ヤード稼ぎ、敵陣34ヤードまで進んだ。しかし、イリーガルフォーメーションで5ヤード罰退してしまう。QB斎藤はRB鷺野へのパス成功後、4thダウンギャンブルでWR木下へのパスを成功させ、ファーストダウンを獲得した。そしてゴールまで4ヤードへ進み、ファーストダウンを更新。鷺野が右サイドへ走り、残り1ヤード。しかし、斎藤からTE松島へのTDパスは不成功となり、4thダウンでの橋本の中央突破も失敗に終わった。

 富士通の攻撃は自陣2ヤードから。すると、QB平本のパスは関学大DB小椋にインターセプトされてしまう。ターンオーバーに成功した関学大は、QB斎藤からWR木下へのパスでゴールまで8ヤードに迫る。さらに斎藤のキープで残り1ヤード。すると9分14秒、今度はRB橋本の中央突破が決まった。K三輪のキックも成功し、富士通のリードは3点となった。
 富士通はWR中村が再びビッグリターン。54ヤード走って、敵陣33ヤードまで入り込んだ。RBゴードンのランは止められたが、10分48秒、K西村の48ヤードFGが決まり、富士通が23―17とした。

◆富士通WR中村輝晃クラーク キックリターンで流れをかえられて良かった。あんな(長い)の普段にはない。

◆富士通K西村豪哲 距離がある時、最初の一歩のズレや腰の回転具合で10~20ヤード違ってくる。ひとつのことに集中する藤田さんに共感してプレーしたのが良かった。ホルダー、スナッパー、ブロッカーがしっかり仕事してくれたおかげでもある。

 関学大はWR木戸がリターンし、自陣27ヤードからの攻撃。QB斎藤は自らキープして走るが、富士通DBアディヤミに止められてしまう。しかし、その後の斎藤のスクランブルでファーストダウンを獲得すると、関学大は後半1回目のタイムアウトをコールした。第3Q残り1分41秒、ボールオン33ヤード。富士通LB鈴木にロスタックルを食らうが、次のプレーでファーストダウンを獲得すると、14分50秒、木戸へのTDパスが決まった。K三輪のTFPキックも決まり、関学大が24―23と逆転に成功した。

 富士通はQB平本からWR強へのパスで自陣44ヤードに進む。そこで第3Qが終了となった。

【第4クオーター】

 富士通は関学大のオフサイドの反則で5ヤード進んだが、次の攻撃でQB平本のパスが関学大DB岡本にインターセプトされてしまう。
 対する関学大は敵陣45ヤードまで進み、大園へのパスを試みるが不成功。すると今度は4thダウンギャンブルでの斎藤のパスが、富士通DBアディヤミにインターセプトされてしまう。

◆関学大QB斎藤圭 たまたま長いパスはよく通った。強気に攻められたけど、相手ディフェンス陣のプレッシャーがきつくなって、周囲が見えなくなっていった。

 富士通はQB平本からWR強へのパスなどで敵陣11ヤードへ。するとRBゴードンが2分33秒、中央へ走り込んでTD。キックも決まり、富士通が30―24と逆転した。

◆富士通DB今井善教主将 ゴードンはコンスタントにゲインを重ねてくれ、しっかり結果を残してくれた。平本はコービーの分までやってくれた。

◆富士通QB平本恵也 コービー(キャメロン)がスカウンティングして、関学大ディフェンスの特徴をフィードバックしてくれた。スカウンティング通りのディフェンスだった。コービーは良いお手本で、おかげで成長できた。

 自陣31ヤードから攻撃となった関学大。RB橋本のランで6ヤード前進したが、RB鷺野のランは富士通DL岡本に止められてしまう。すると関学大はWR木戸から左へ走ったQB伊豆へのパスでファーストダウンを獲得。しかし、橋本のランはまた止められてしまう。関学大はパントの構えからQB伊豆が右サイドへパスを試みるが、不成功。攻守交代となった。

◆関学大RB鷺野聡主将 (今日の試合に関して)納得はひとつもしていない。チャンスを取りこぼすとこうなる。取れれば勝つべくして勝てる試合だった。スペシャルプレーは100%成功させないと意味はない。

◆関学大WR木戸崇斗 この試合は対等に戦ったのでは厳しい。意表を突くスペシャルプレーを使ってタッチダウンを4本取るつもりだったが、3本と1本足らなかった。結果的にターゲットが空いたり、フリーになったりと狙いは成功はしたけど、全部通さないと・・・。自分は昨年から慢性的な腰痛に悩まされていたが、昨年の西日本代表決定戦あたりから練習できるようになり、状態は上がってきていたんだが・・・。

 富士通は敵陣31ヤードからRBゴードンが2回走り、11ヤード前進。ファーストダウンを獲得した。さらにゴードンが走るが、TDには届かない。すると10分19秒、K西村の33ヤードのFGが決まり、富士通が33―24とした。
 関学大は大きくリターンしたいが、DB田中が止められ、自陣20ヤードからの攻撃。RB橋本の中央突破で39ヤードまで進んだが、QB斎藤はパスターゲットが見つからない。2度サイドラインへ投げ捨てざるを得ず、ランも止められた。すると4thダウンギャンブルも、LB竹内にQBサックされてしまう。

◆富士通LB竹内修平 逆サイドにロールして、QB戻ってくるのを狙っていた。ブリッツのコールがきて、狙い通りにサックできた。

 富士通は攻撃権を得ると時計を進める。たまらず関学大はタイムアウト。後半3回を使い切り、残り試合時間は1分47秒。富士通K西村の43ヤードFGトライは不成功となり、関学大に攻撃権が移った。
 時間のない関学大だが、ディレーオブゲームの反則で時計が止まる。そして、4thダウンギャンブルで粘るが、QB斎藤のパスは失敗。攻撃権を得た富士通はビクトリーフォーメーションで時計を進め、悲願の初優勝をモノにした。

◆富士通LB鈴木將一郎 (関学大は)いろんな体形、プレーをやってくると思っていたが、ディフェンスとしては最後まで厳しい試合だった。今日は我慢して、仲間を信じた。最後は僕のところに良い場面が巡ってきた。タックルで仕留めるだけだった。「ディフェンスで勝つ」と言ってきたので、それをやるだけだった。

◆関学大・鳥内秀晃監督 地力のあるチームにこっちがミスしていては駄目。第4Qのリードしていた場面でギャンブルはどうだったか? スペシャルプレーをいろいろ用意したけど、精度は渋かった。ミスをなくさないと社会人には勝てない。

◆富士通DB今井善教主将 相手は何をやってくるか分からなかったが、最後の最後まで挑戦し続けようとやって、それができた。優勝はうれしいのと同時に、(応援してくれた皆さんに)恩返しできたことが大きい。チーム、サポーター全員の勝利だと思う。

◆富士通・藤田智ヘッドコーチ 選手が良く頑張ってくれた。関学大は良いチームなので、苦しい試合だった。最後までびくびくしていた。(途中)逆転されるのは想定していたが、良く取り戻してくれた。スペシャルプレーはさすがだった。でも、ウチの選手も良く対応した。状況に左右されずにやってくれた。まずは喜びたい。

(日刊スポーツ 吉池 彰)