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オービックが7年ぶり優勝 ジャパンエックスボウル詳報

第34回日本社会人選手権・オービック13-7富士通>◇15日◇東京ドーム

 出場4年ぶり11度目のオービックが、13―7で同8年連続12度目の富士通に勝ち、4年ぶり5度目の名門対決を制した。7年ぶりの優勝で、大会最多記録となる9度目の社会人王座に就いた。

 MVPはチームの全TDをランで決めたオービックのRB李卓(25)が初受賞した。
 オービックは来年1月3日の日本選手権「プルデンシャル生命杯ライスボウル」(東京ドーム)で、学生王者の関学大と対戦する

コイントス

【第1クオーター】

 コイントスに勝った富士通が前半のレシーブを選択。オービックのキックオフで試合開始となった。

 富士通はWR宜本潤平のリターンで自陣23ヤードからの最初の攻撃。QBバードソンを起点に、RBグラントの12ヤードランでファーストダウンを獲得した。さらに、バードソンのキープラン、WR岩松へのパスでファーストダウンを更新した。そして、WR中村へのパスで敵陣43ヤードまで進むが、その後は続かず、パントを余儀なくされた。

 オービックは自陣9ヤードからの攻撃。QBロックレイが自身のランで6ヤード進むと、RB李のラン、TEハフへのパスでファーストダウンを獲得した。しかし、ここでロックレイが富士通DL斉川にQBサックを食らってしまう。その後、WR池井へのパスで自陣30ヤードまで進むが、ファーストダウンは更新できない。

 代わった富士通の攻撃は自陣30ヤードから。最初のパス攻撃でオービックに反則があり、富士通が自陣38ヤードでファーストダウンを獲得した。そして、バードソンのキープランで敵陣32ヤードまで進み、ファーストダウンを更新した。ここでバードソンはTDパスを狙うも、不成功。その後はRBグラントへのパスで敵陣22ヤードまで進んだが、次のパスをオービックDBブロンソン・ビーティにインターセプトされてしまう。

 代わったオービックの攻撃は自陣22ヤードから。RB李のラン、QBロックレイからTEハフへのパスで自陣47ヤードまで進み、ファーストダウンを獲得した。ここでWR西村への43ヤードのパスが決まり、ゴール前1ヤードまで前進。すると10分39秒、RB李がエンドゾーン中央にTDランを決めた。PATキックも決まり、オービックが7点を先制した。

 タッチバックで富士通の攻撃は自陣25ヤードから。しかし、RBグラントの2度のランではロスしてしまう。その後のパスも決まらず、富士通はやむなくパント、ここで、第1Qが終了した。

先制TDを挙げたオービックRB29李

【第2クオーター】

 オービックは自陣42ヤードからの攻撃。RB地村のランで47ヤードまで進んだところで、QBロックレイがTDパスを試みるも不成功。しかし、その後すぐに自身のランでファーストダウンを獲得した。さらにRB李のランで敵陣44ヤード進むが、ロックレイのパスは富士通DB奥田にインターされてしまう。

 代わった富士通の攻撃は自陣31ヤードから。QBバードソンのキープランで同44ヤードまで進み、ファーストダウンを獲得した。しかし、その後のパス攻撃は続かない。

 オービックの攻撃は自陣27ヤードから。QBロックレイからTEハフへの連続パスでファーストダウンを獲得した。そして、敵陣38ヤードからRB地村のランで前進。その後、TEハフがファンブルしたボールを富士通DB井本がリカバーして、タッチダウンと思われたが、ビデオ判定により取り消された。

 そして、オービックは敵陣28ヤードからのファーストダウンの攻撃で、またも富士通にファンブルリカバーされたかに見えたが、ビデオでパス失敗の判定。するとRB李が12ヤード走ってファーストダウンを獲得した。ボールは敵陣16ヤード。ここからパスを受けた李がゴール前7ヤードまで進むと、最後も李がランでTDを決めた。PATキックは富士通DL南にブロックされて不成功となり、7分26秒、オービックが13―0とした。

第2Q、追加点を挙げたオービックRB李

 富士通の攻撃は自陣18ヤードから。RBグラントの連続ランでファーストダウンを獲得した。さらにWR松井へのパス、グラントへのパスで敵陣28ヤードまで進み、ファーストダウンを獲得した。さらに松井へのパスでファーストダウンを更新。すると、10分56秒、バードソンから松井への12ヤードのTDパスが決まった。PATキックも成功し、富士通が7点を返した。得点はオービックの13―7に変わった。

第2Q、反撃のTDを挙げた富士通WR85松井

第2Q、反撃のTDを挙げた富士通WR85松井

オービックの攻撃は自陣25ヤードから。QBロックレイからWR池井への13ヤードパスでファーストダウンを獲得した。しかし、ボールオン自陣38ヤードでの攻撃はロスタックルされ、ここで前半が終了した。

◆オービック大橋誠ヘッドコーチ(前半について)

  オフェンスもディフェンスもやろうとしたことをしっかりやってくれた。まだ、プロセスの中なので、点差もリードしている点も関係ない。相手のバードソンとグラントには、やったり、やられたりしたが、さすがだなと思う場面もあった。後半は僕らの持っているものをどれだけ出し切れるか。愚直にやりきれるか、それだけ。

◆富士通・山本洋ヘッドコーチ(前半について)

  オフェンスとしてはテンポ良くいけたところもあったが、得点を取り切るところまでいけなかった。全体的な精度に欠けた。ディフェンスは止めるところもあったが、ミスタックルをしてセカンドエフォートを取られた(=倒れずに踏ん張られた)。その辺をしっかり修正したい。

富士通チアリーダー

富士通チアリーダー

オービックチアリーダー

オービックチアリーダー

【第3クオーター】

 富士通のキックで試合再開。オービックはWR西村がリターンし、自陣34ヤードからの攻撃となった。

 オービックQBロックレイはRB李を走らせるも2ヤードのロス。さらに李へのロングパスも不成功。しかし、WR前田への15ヤードパスでファーストダウンを獲得した。自陣47ヤードから前田へのパスで敵陣に入り込むと、ロックレイのランでファーストダウンを獲得した。その後、李のランは止められたが、李への11ヤードパスが決まり、敵陣31ヤードでファーストダウンを獲得した。しかし、次の李の連続ランとパスは止められ、K山崎が45ヤードFGトライ。これは不成功に終わった。

 富士通の攻撃は自陣28ヤードから。RBグラントのラン、WR岩松への連続パスでファーストダウンを獲得した。しかし、岩松は負傷退場。ここでグラントのランでファーストダウンを獲得した。さらにQBバードソンが自身のランとパスで前進を図るが、攻撃は続かない。

富士通QB3バードソン

富士通QB3バードソン

 代わったオービックの攻撃は自陣7ヤードから。RB李のラン3ヤード進むと、続く攻撃でビッグプレーが飛び出す。ショベルパスを受けた李が左サイドラインを36ヤード走り、自陣46ヤードまで進んだ。さらにWR水野への23ヤードパスで敵陣31ヤードまで前進。しかし、ここで富士通ディフェンス陣も踏ん張り、さらなる前進は許さない。LB久下とニクソンが11ヤードのロスタックルを決めたところで、第3Qが終了した。

富士通守備陣

富士通守備陣

【第4クオーター】

 オービックの攻撃は敵陣45ヤードから。QBロックレイがWR前田へロングパスを決めたかに見えたが、パスインターフェアランスの反則で、15ヤード罰退。さらに、フォルススタートの反則で5ヤード下げられてしまう。

 攻撃権は富士通に代わり、ボールオン自陣38ヤード。QBバードソンからWR森田への11ヤードパスでファーストダウンを獲得した。しかし、その後はオービックディフェンス陣が圧力をかけ、バードソンにうまくパスを投げさせない。
 代わったオービックの攻撃は自陣9ヤードから。しかし、RB李の連続ランとパスではファーストダウンを獲得できない。

 富士通の攻撃に代わり、自陣39ヤードにボールオン。ここからRBニクソンが走り、ファーストダウンを獲得した。さらにニクソンのランで前進、その後のQBバードソンからWR中村への16ヤードのパスは不成功に見えたが、ビデオ判定で覆った。ボールオンは敵陣11ヤードでファーストダウン。WR松井へのパスで2ヤード進むが、続くRBグラントのランとQBバードソンのランではファーストダウンまで1ヤード足りない。

 ここで富士通は後半1回目のタイムアウト。第4ダウンギャンブルを試みる。すると、富士通QBバードソンがファンブルしたボールをオービックDB田中がリカバーし、一気にゴールまで運んだ。TDに見えたが、ビデオ判定の結果、ゴール前でボールデッド。ギャンブル失敗で攻撃権がオービックに移った。

 オービックの攻撃は自陣1ヤードから。すると、ここでもRB李が走り、自陣21ヤードまで進んで、ファーストダウンを獲得した。オービックは残り時間を見ながらプレー。しかし、その後はファーストダウンを獲得できない。

 試合時間残り1分31秒で富士通の攻撃は自陣22ヤードから。RBグラントへの12ヤードパス、WR中村への11ヤードパスでファーストダウンを連続で獲得した。ボールオンは自陣45ヤード。パスは不成功で残りは52秒。ここからバードソンのパスは不成功。すると、残り46秒からの第4ダウンギャンブルでバードソンが14ヤードのスクランブルラン。ファーストダウンを獲得した。さらにグラントが走って4ヤード進んだところで、富士通は後半2回目のタイムアウトと取る。

 残り時間は23秒。試合再開で富士通はQBバードソンからWR宜本潤平への14ヤードパスが成功し、敵陣23ヤードでファーストダウンを獲得した。次のパスは不成功で残り9秒。しかし、WR松井への17ヤードパス成功でファーストダウンを獲得した。残り2秒でボールオンはゴール前6ヤード。ここでオービックが後半1回目のタイムアウトを取る。最後は富士通バードソンがWR宜本潤平を狙ったTDパスをオービックDB久保がカット。これで試合終了となり、オービックの7年ぶりの優勝が決まった

最後のパスをカットしたオービックDB4久保

最後のパスをカットしたオービックDB4久保

◆オービック大橋誠ヘッドコーチ

 もう、やるかやれるかの最後の場面で、必ずやってくれると選手を信じていた。この7年間苦しんできたコーチ、選手、スタッフの思いがやっと結実した。僕がどうこうと言うより、ここまで辛抱してチームを作ってきてくれた仲間に感謝したい。心からおめでとうと言いたい。苦しいフィールドポジションでもどうボールを運んでいくかを課題に挙げてきたが、なかなかそれがうまくいかなかった。それにディフェンスがちゃんと答えて、得点を与えずにゲームを終えることができた。いろんな力が選手を後押ししてくれた。李がすばらしいプレーをしてくれたが、そこを支えたオフェンスライン、タイトエンド、レシーバーがブロックで身を呈してくれた連中もたたえたい。今季はコロナでコミュニケーションが非常に密になって、一丸で戦えるチームができた。ライスボウルではXリーグのいろんな選手の思いを背負い、それを裏切らない戦いをしたい。

オービック大橋HC

オービック大橋HC

◆オービックRB李

 シーガルズが日本一を証明したかった。達成できてよかった。オフェンスライン、レシーバー、みんなのブロックが最高だったので、走ったら得点につながった。今後も強いシーガルズを見せていきたい。

MVPを受賞したオービックRB29李

MVPを受賞したオービックRB29李

◆オービックRB地村主将

 やってきたことが報われた。自分たちらしさを出せたのが良かった。7年ぶりの優勝で、ファンにはお待たせした。支えられた苦しい時期だったが、これからも僕らの挑戦は続くと思う。今後も勝っていく姿を見てほしい。

オービック主将RB30地村

オービック主将RB30地村

◆富士通WR松井

 

自分が気持ちの面で準備できておらず、結果につながらなかった。想像以上にプレーが通らず、ひとりでは何もできなかった。浮ついていたかもしれない。

(日刊スポーツ新聞社 吉池 彰)

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