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富士通がIBMに勝利、二年連続三度目のライスボウル出場へ

12月18日(月)第31会日本社会人アメリカンフットボール ジャパンエックスボウルが行われ、5年連続9度目出場の富士通が、63―23でIBMに勝ち、2年連続3度目の社会人王座に就いた。63点は大会最多得点記録54を更新、40点差も最多得失点差39を更新した。

MVPは203ヤードを獲得し、大会レシーブ記録151ヤードを更新した富士通のWR中村輝晃クラーク(29)に決まった。

富士通は来年1月3日の日本選手権「ライスボウル」(東京ドーム)で、学生王者の日大と対戦する

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【第1クオーター】

コイントスに勝った富士通が前半のレシーブを選択。IBMのキックオフで試合が開始された。

すると、富士通にいきなりビッグプレーが飛び出す。開始14秒、WR猪熊が99ヤードのキックオフリターンTD。PATキックも決まり、富士通が7点を先制した。

◆富士通 WR猪熊

レシーバーでの出番は無いので、リターナーとして常に一発しか狙っていない。IBMの37番をかわしてTDが取れた。歓声が聞こえてうれしかった。1年前まで学生だったが、ライスボウルでは、社会人として負けたくない。

対するIBMはRB高木がリターン。自陣30ヤード地点からの攻撃となった。最初のプレーはランで、2ヤード前進すると、QBクラフトからWR鈴木隆へのパスで、ファーストダウンを獲得した。続くパスは不成功となったが、クラフトがスクランブルランを見せ、ファーストダウンを更新。そして、RB末吉のランで前進した。ここでQBは政本に一度交代したが、すぐにクラフトが復帰。すると末吉へのパスでゴール前に迫った。すると、3分18秒、RB高木が12ヤードのTDラン。PATキックも決まり、IBMは同点に追い付いた。

代わった富士通はWR中村がリターン。自陣30ヤードからの攻撃となった。そして、この試合最初のオフェンスで、QBキャメロンから中村への連続パスが決まり、ファーストダウンを獲得した。すると、キャメロンのラン、RBゴードンへのパスでファーストダウンを更新。さらに中村へのパスで、ゴール前3ヤードでファーストダウンを更新した。そして、5分37秒には、キャメロンからWR強へのTDパスがヒット。PATキックも決まり、富士通は再び7点のリードを奪った。

IBMはWR栗原がリターンし、自陣31ヤード地点からの攻撃に代わった。するとQBクラフトはWR上広へのパスで9ヤード前進。末吉のランでファーストダウンを更新した。そして、50ヤード地点からTEスタントンへのパスで敵陣26ヤードまで入り込んだ。しかし、RB高木へのパスはロス。するとここで、富士通DBアディヤミが鮮やかなQBサック。IBMの反撃の芽をつんだ。

富士通の自陣20ヤードからの攻撃に代わり、パスを受けたRBゴードンが走り、ファーストダウンを獲得した。さらに、TE水野へのパス、キャメロンのキープランでファーストダウンを更新した。これで自陣44ヤードまで進んだ富士通はWR宜本へのパスが決まり、ファーストダウンを更新。そして、中村へのパスでゴール前4ヤードまで進むと11分23秒、キャメロンからWR福井へのTDパスが決まった。PATキックも成功し、富士通はリードを14点に広げた。

 

離されたくないIBMはTEスタントンが自陣43ヤードまでリターン。しかし、続くクラフトのランは2ヤードのロス。ここで代わったQB政本のパスで、IBMが自陣49ヤードまで前進したところで、第1Qが終了した。

【第2クオーター】

第4ダウンとなって、IBMはQB政本がパントを見せるが、富士通にブロックされてしまう。すると敵陣41ヤードで攻撃権を得た富士通はRBゴードンのランで14ヤード進んだ。しかし、ここでIBMのLBコグランがキャメロンのパスを後ろからはたき、キャメロンがファンブル。これをIBMが押さえ、攻撃権はIBMに代わった。するとQBクラフトからWR鈴木隆へのパスで20ヤード前進。さらにRB末吉の連続ランでファーストダウンを更新した。そして、RB高木のランと高木へのパスで7ヤード進むと、鈴木隆へのパスでファーストダウンを更新した。ここでTEスタントンがパスを受けて走り、敵陣21ヤードまで進んだが、その後のパスは不成功でIBMはFGトライを選択。すると4分47秒、K佐藤の38ヤードFGが決まり、IBMは3点を返した。

富士通はWR猪熊がリターンし、自陣26ヤードからの攻撃。すると5分49秒、キャメロンがビッグプレーを演出した。WR中村への74ヤードTDパスをヒット。PATキックも成功し、富士通が28―10とした。

◆富士通 WR中村

レシーブ記録更新は知らなかったが、うれしい。これまでうまくいかない時もあったが、今日は富士通のオフェンス力を出せた。大げさだけど、人生を変えてくれたコービー(キャメロン)には感謝している。ライスボウルで母校の日大とやれるのはうれしいが、いろんな思いがある。とにかくオフェンスで頑張りたい。

ここで富士通はK西村がオンサイドキック。しかし、ボールはIBMが押さえ、自陣36ヤードからの攻撃となった。そして、連続攻撃で敵陣38ヤードまで入り込んだが、続くQB政本のランは2ヤードのロス。ここでLB竹内の突進に慌てた政本がパスをLBニクソンがインターセプトされてしまう。ニクソンは、そのまま60ヤードを走りきり、7分46秒、TDを決めた(PATキックも成功)。

これで25点差となり、もう離されたたくないIBMは、RB高木が敵陣31ヤードまで68ヤードのビッグリターン。しかし、続くQBクラフトのパスは連続で失敗。第3ダウンにはLB鈴木に止められ、IBMは再びFGトライをせざるを得なくなる。すると8分49秒、K佐藤が50ヤードのFGを決めた。これで得点は富士通の35―13となった。

IBMはK小田倉の変則キックで攻撃権の維持を計るが、富士通にボールを押さえられてしまう。しかし、富士通の攻撃も続かず、IBMが自陣20ヤードからの攻撃権を得た。そしてRB高木のラン、QBクラフトからTEスタントンへのパスでファーストダウンを獲得した。続くWR上広へのパスはリプレーで成功の判定。敵陣44ヤードからの攻撃となったが、IBMはここで痛恨のホールディングの反則で10ヤード罰退してしまう。さらに富士通LB竹内と鈴木の連続QBサックで大きく後退。IBMはパントを余儀なくされ、富士通の攻撃に代わったところで、前半が終了した。

◆富士通 LB竹内

納得がいくのは政本へのブリッツとサックの2プレーだけ。後半の動きが良くなかった。去年のライスボウルでは見過ぎたので、無心で思い切りやりたい。日大のQBは1年生だが、力がある。力強いプレーでブリッツとかを決めたい。

【第3クオーター】

後半はIBMのレシーブで試合再開。RB高木がビッグリターンし、自陣49ヤードからの攻撃となった。するとQBクラフトのパスの後、46秒にRB末吉が49ヤードのTDランを決めた。これで得点差は15点となった。

富士通はRBゴードンがリターンし、自陣26ヤードからの攻撃。ここでまたゴードンが走り4ヤード進むと、IBMがパスインターフェアの反則、富士通が同45ヤードまで前進した。そして、ゴードンのランの後、キャメロンから中村へのロングパスが決まる。これで富士通がゴール前10ヤードに迫ったところで、IBMがオフサイドの反則。ボールはゴール前5ヤードに置かれた。ここからゴードンのランで2ヤード進むと、最後は3分39秒、キャメロンからWR強へのTDパスが決まった。PATキックも成功し、富士通が42―20と突き放した。

IBMの攻撃は自陣40ヤードから。高木のランで8ヤード進み、スタントンへのパスでファーストダウンを獲得した。ここからクラフトのロングパスは不成功も、高木が走り、敵陣30ヤードへ。そして、末吉のランでファーストダウンを更新した。そして、敵陣22ヤードまで迫ったが、第3ダウンでスタントンにめがけたTDパスは不成功。IBMはまたもやFGを狙うこととなり、6分29秒、K佐藤が39ヤードのFGを成功させた。

自陣28ヤードからの攻撃で、富士通はWR猪熊が走って敵陣46ヤードまで進んだ。すると、QBキャメロンからTE水野へのパスが成功。敵陣14ヤードまで前進した。ここからRBゴードンが2ヤードのラン。このプレーでIBMは守備の要LBコグランが負傷退場してしまう。すると富士通は強へのパスでゴール前2ヤードへ。さらに1ヤード進むと、8分53秒、キャメロンが自身でTDランを決めた。PATキックも成功で、富士通が49―23とまた点差を広げた。

IBMはWR鈴木恵が自陣41ヤードまでリターン。ここでクラフトから梶川へのパス、末吉のランで敵陣30ヤードまで進んだ。さらにWR鈴木隆へのパス、スタントンへのパスでゴール前へ迫った。その際、富士通にフェイスマスクの反則があり、ボールは敵陣5ヤードに。次のパスは不成功となり、さらにクラフトのパスはエンドゾーンで富士通DBアディヤミにインターセプトされてしまう。

そして、富士通の自陣20ヤードからの攻撃となると、キャメロンは中村へパスで8ヤード前進。さらにキャメロンがキープランで敵陣42ヤードまで進んだ。しかし、その後のランプレーの際、富士通はホールディングの反則。10ヤード罰退した。ここで第3Qが終了した。

 

【第4クオーター】

富士通は開始48秒、キャメロンが自ら54ヤードを走り、TD。これで55点目を挙げ、大会最多得点を更新した。そして、PATキックも決まり、得点は富士通の56―23となった。

◆富士通 QBキャメロン

今日は日本一のオフェンスが素晴らしかった。ゲームプランに沿って3週間をしっかりこなせたのが、このゲームにつながった。

IBMは自陣29ヤードからの攻撃で、QB政本がラン。ファーストダウンを獲得したが、続く攻撃でIBMはファンブル。これを富士通がリカバーし、敵陣39ヤードでの攻撃権を得た。すると富士通はゴードンの連続ランで9ヤード前進。さらにゴードンが走り、ファーストダウンを更新した。ボールは敵陣25ヤードに。すると、ここからまたゴードンが走って、4分6秒、そのままTDランを決めた。

富士通K西村のPATキックも決まって得失点差が大会最多の40点となり、それを免れたいIBM。自陣36ヤードからの攻撃で、QB政本はパスと自身のランでファーストダウンを獲得した。そして、このプレーの間に富士通DB奥野が負傷退場となってしまう。するとIBMは、政本がTE小林へのパスと自身のランでファーストダウンを更新した。しかし、ここで富士通DB樋田がIBMのTE小林が取り損ねたパスをインターセプト。富士通の自陣33ヤードからの攻撃に代わった。

◆富士通 K西村

今日はTFP(=PAT)キックの重みを改めて感じた。TFPは(攻撃の)勢いを維持するためのもの。外からは差のある展開に見えたと思うが、相手のラッシュは激しく、冷や冷やものだった。(IBMの長身DL)ブルックスを意識してキックしたが、味方が良いブロッキングをしてくれた。ライスボウルでは常にチャレンジャー。相手に関係なく、しっかりパフォーマンスを出すだけだ。

富士通はQBが平本に交代。しかし、ここでRB高口がファンブルし、IBMのDLトゥアウにリカバーされてしまう。しかし、その後のIBMの攻撃も続かない。相手反則で2度の第4ダウンギャンブルの機会を得たが、不成功。攻撃権は富士通に代わった。

試合時間残り4分13秒で、富士通は自陣39ヤードからの攻撃。RB高口の連続ランでファーストダウンを獲得した。さらに高口が走り、じわじわと前進、さらに第4ダウンギャンブルも見せた富士通だったが、ファーストダウン更新には至らなかった。

試合時間は残り1分11秒となって、IBMの攻撃。RB高木のラン、クラフトのランでファーストダウンを獲得した。残り38秒からのパスは不成功も、同31秒からWR鈴木恵のランでファーストダウンを更新した。しかし、その後のフォルススタート反則で残り3秒、ゴール前13ヤードから攻撃となったIBM。クラフトからパスを受けたWR鈴木恵がTDパスを狙うも不成功となり、富士通の勝利が決まった。

 

◆富士通 藤田ヘッドコーチ

最多63得点には自分でも驚いている。得点は運が良かったこともあるが、とにかく選手が良く頑張ったと思う。オフェンスラインがコービーに仕事をさせてくれ、ランナーの走路を開けてくれた。今年も苦しく、(リーグ戦でパナソニックに負けて)ここまで来られると思っていなかった。ライスボウルには、もうワンランク上げて臨みたい。日大の1年生は怖いモノ知らずで怖いが、(対戦を)楽しみにしている。

◆富士通 WR宜本主将

今日はオフェンスがうまいことかみ合った。これまでディフェンスに勝たせてもらっていたが、今日はオフェンスが納得のゲームになった。1プレー1プレーに集中できた。学生王者の日大はめちゃくちゃ強いと思うが、社会人王者として圧倒したい。

◆IBM 山田ヘッドコーチ

今日は本当に勝ちに行った。リスクを背負わずにやっても良かったが、これが結果なのでしょうがない。敗因としては点を取れるところで取れなかったこと、止めないといけないところで止めることができなかったこと。かみ合わないことが多かった。富士通は1人1人の個が強くベースが違う。取る、走る、当たる、全てにおいてうまいので、ごまかしがきく相手ではなく、1対1ではまだ勝てない。

IBMには仕事をしながらもがんばってる選手が多いので、勝たせてあげたかった。その中で悔しい、申し訳ないという気持ちがあり、こみあげてくるものがあった。これを味わって1人1人が強くなると思う。パナソニックやオービックにもかみ合えば勝てることはわかったが、こういう大舞台で勝ちきれないところはまだまだなので今後さらに練習を重ね、強くなっていかないといけないと感じる試合だった。

◆IBM DB中谷主将

今日の結果は本当に悔しい。JXBに出られたのはチームメート含む関係者や応援いただいてる方々のおかげ。目標はライスボウルで勝つことなので、もちろんこの結果には満足していない。来シーズンに向けて切り替えてやっていきたい。今シーズンはオービックやパナソニックにも勝てたけど、やはり富士通は強い。まだまだ足りない部分はあるし、課題が何かもわかった。

 

【日刊スポーツ新聞社 吉池 彰】