<関学大42―24日大>2020年12月13日 阪神甲子園球場
出場5年連続54回目の関学大と3年ぶり35度目の日大の対戦は、関学大が42―24で日大を下し、3連覇を果たすとともに、最多優勝記録を31に伸ばした。
関学大は第1Q、QB奥野耕世(4年)からWR梅津一馬(2年)へTDパスで先制。同Qに7―14と日大に逆転を許したが、第2Qに連続TDを決め、21―14で折り返した。すると後半は安定した試合運び。第3QにワイルドキャットフォーメーションからRB三宅昴輝(4年)がTDランを決めてリードを広げ、そのまま逃げ切った。
チャックミルズ杯・年間最優秀選手には奥野が、大会最優秀選手には三宅が、敢闘選手には日大RB川上理宇(4年)が選ばれた。関学大は1月3日のライスボウル(東京ドーム)に進出、社会人王者と対戦する。
【第1クオーター】
京都市立芸術大4年・佐々木真衣さんの国歌独唱後にコイントス。その結果、関学大が勝って前半のレシーブを選択。日大のキックオフ、関学大のレシーブで試合が開始された。
関学大はRB三宅がリバースプレーでビッグリターン。敵陣21ヤードからの攻撃となった。そして、敵陣12ヤード、残り1ヤードで第4ダウンギャンブルに成功。すると、2分55秒、関学大は残り11ヤードでQB奥野からWR梅津への先制のTDパスが決まった。PATキックも成功し、関学大が7―0とした。
対する日大はWR林裕嗣がリターンし、自陣34ヤードからの攻撃。すると肩の故障が心配されたエースQB林大希が、いきなり登場した。
RB秋元を走らせてファーストダウンを獲得、更新。すると、7分34秒、残り7ヤードからRB柴田がエンドゾーン中央に走り込み、TDを決めた。PATキックも成功し、日大が7―7の同点に追い付いた。
これで、勢いづいた日大はディフェンス陣も踏ん張り、関学大に得点を与えない。そして、RB川上のラン、QB林のパスなどで敵陣4ヤードまで攻め込むと、第1Q残り0秒、QB林がWR大通へTDパスを決めた。PATキックも成功し、日大が14―7と逆転した。
【第2クオーター】
早く追い付きたい関学大は自陣14ヤードからの攻撃。RB三宅とRB前田のランで大きく前進した。すると、2分17秒、残り13ヤードでQB奥野が三宅にピッチ。三宅はエンドゾーン右端に走り込んだ。PATキックも成功し、関学大が14―14の同点とした。
その後は両チーム足踏み状態。ともに、なかなか得点できない。ここで抜け出したのは関学大。ゴール前1ヤードに迫ると、第4ダウンギャンブルを決めた。14分2秒、WR大村が左に回り込んでTDラン。PATキックも成功し、関学大が21―14と逆転した。
前半も残り1分を切ったところで、日大は自陣29ヤードからRB川上のランなどで大きく前進。残り7秒で40ヤードのFGトライとなるが、K福岡が右にそらしてしまう。ここで、前半が終了した。
◆関学大・大村監督
ディフェンスがある程度行かれることは想定内。でも、準備したきたことと違うことをされてアジャストが遅れた。オフェンスがドライブできているので、ディフェンスもアジャストして、しっかりゲームを作りたい。相手オフェンスはランプレーが多いと思うが、あまり考えずにやる。
◆日大・橋詰監督
関学のオフェンスは予想通り。着実に点を取ってくるので、何とか食らいついていきたい。RBが頑張っているが、オフェンスラインが何とか勝負になっている。QB林は本調子ではなさそうだが、この1試合はやってくれると思う。後半は全員で戦おうと思っている。
【第3クオーター】
日大WR林のリターンで試合再開。反則で10ヤード罰退があり、自陣12ヤードからの攻撃となった。RB秋元のランでファーストダウンを獲得するが、その後の攻撃は続かない。
代わった関学大は自陣28ヤードからの攻撃。敵陣39ヤードまで攻め込み、QB奥野がTDパスを狙うが、日大DB小松にインターセプトされてしまう。
ここで追い付きたい日大だが、関学大DBにパスカットされ、ファーストダウンを獲得できない。
すると、9分58秒、関学大得意のスペシャルプレーが飛び出す。RB齋藤のランで残り3ヤードに迫ると、ワイルドキャットに入ったRB三宅が右側に回り込んでTDラン。PATキックも成功し、関学大が28―14とリードを広げた。
【第4クオーター】
ここで日大が意地を見せる。1分48秒、RB川上が自陣22ヤードから78ヤードを走り切るビッグプレーでTD。PATキックも成功し、日大が21―28と7点差に迫った。
関学大も負けていない。QB奥野からWR鈴木へのロングパスで敵陣37ヤードへ。その後、奥野は日大DL宇田にサックされるも、WR鈴木へのパスで再び前進。そして、5分7秒、残り24ヤードで奥野がWR糸川へTDパスを決めた。PATキックも成功し、関学大が35―21とリードを再び14点に広げた。
6分57秒、日大はK福岡が36ヤードのFGを成功させ、24―35と11点差にするが、反撃もここまで。関学大は10分14秒、RB三宅が右エンドゾーンまで53ヤードを走り抜けてTD。PATキックも成功し、関学大が42―24と日大を突き放した。
残り5分を切って18点差を追う日大。QB林のパスは関学大LB海崎に連続でカットされてしまう。第4ダウンギャンブルも失敗し、攻撃権は関学大に移った。関学大はラン攻撃で時計を進め、試合終了。日大に3年前のリベンジを果たすとともに、3連覇を決めた。
◆関学大・大村監督
今日は選手がしんどいところで頑張ってくれた。日大はオフェンスが得点力があるのは分かっていたので、これくらいの点差になるかとは思った。(こちらの)オフェンスは良くやってくれた。(コロナ禍で)限られた時間の中で学生、スタッフが頑張ってくれた。日大が素晴らしいフットボールをされたので、我々も普段以上に力を発揮できた。ライスボウルは(社会人の)試合を見て考えたい。選手たちはまだまだできると思う。
◆関学大RB鶴留主将
まずは、このような状況の中で、甲子園ボウルが行えたことに感謝したい。そして、目標の学生日本一が達成できてうれしい。今まで積み重ねてきたことをどれだけ出せるかに、こだわってやってきた。それが出せたのではないかと思う。
RBの三宅、前田、齋藤とランで点を取ろうと決めて、それが実際にできた。OLが前で泥臭いプレーをやってくれたことで、これだけ取れた。オフェンス(全体)の力だと思う。日大は気迫が強いチームで、それに負けないようにした。ライスボウルは社会人とできる機会なので、自分たちの全力をぶつけたい。
◆関学大QB奥野
最終学年で甲子園に来られて、日本一になれたのは素直にうれしい。16年間アメリカンフットボールをやっているが、自分の持っているものを全部ぶつけようと思ってプレーした。パスで300ヤードを超えたのは、今、知った。そんだけ取れたのはうれしい。練習で準備してきたことができた。日大には絶対に負けたくなかったので、勝ててほんとにうれしい。ライスボウルでは2回生でも、3回生でもボロボロに負けてしまったので、最後の学年で集大成として、思い切りぶつけて頑張りたい。
(日刊スポーツ新聞社 吉池 彰)