2010.12.21
ジャパンXボウルゲームリポート
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日本代表選出QB同士の対決の軍配は菅原に上がった。

先制したのはパナソニック電工。ノーハドルでオービック守備に十分な準備をさせず、K佐伯の20ヤードFGで3点を挙げた。対するオービックは菅原独特のヒッチパスでパナソニック電工LBを外に広げ、中へ早いタイミングのランプレー繰り出すという、巧妙に左右にストレッチする組み立てで反撃。そして第2Q3分9秒。QB菅原がエンドゾーンに飛び込み逆転TDを挙げた。

さらにオービックは続く攻撃でも内と外に揺さぶる組み立てを生かし着実に前進。菅原のスクランブルを織り交ぜながら、第2Q9分17秒、エンドゾーン左奥に走り込んだTE韓にTDパスを決め、13対3とリードを広げた。

逆にパナソニック電工QB高田はオービックの外からのブリッツに投げ急がされ、パントに追い込まれ続けた。「プレッシャーが想像以上だった」と高田に言わしめたオービックの両DEケビン・ジャクソンとカール・ノアのハワイ大コンビの圧力が、徐々に高田のパスを上ずらせていった。さらにWR本多が負傷退場したことも誤算だった。

後半に入ると、パナソニック電工守備が勢いを取り戻す。中のLB2人が交互にブリッツを仕掛け、中央からつぶしにかかった。そして両DEが外から包み込み、菅原に対してじわりとプレッシャーをかけ始めた。菅原もこの守備の変化に気付いていたが「アジャストが遅れた」と後手に回った。

一方、一向に攻撃面で打開できないパナソニック電工。佐伯の47ヤード、37ヤードと2本のFGを返すのが、せいいっぱい。その状況を打破したのはなんと守備だった。SF仲山がインターセプトを奪うと、次のオービック攻撃でもCB辻が右アウトパスをインターセプト。そのままエンドゾーンまで31ヤードを走りきり、ついに逆転TD。第4Q7分9秒だった。

歓声に沸くパナソニック電工サイド。だが菅原は落ち着いていた。「次のプレーに全力を尽くす」。再逆転を目指したドライブでは、2本連続でインターセプトを喫した嫌なイメージを微塵も感じさせない落ち着いたプレーぶり。第3ダウン16ヤードと窮地に陥ったときも、WR平野へ18ヤードのパスを通し、ドライブを継続。オービック・大橋ヘッドコーチも「あれがキーだった。よく通してくれた」と絶賛した。最後は左フレアに出た杉原に9ヤードのTDパスで再逆転した。残り2分55秒、パナソニック電工は再々逆転のドライブに挑んだが、高田のパスは上ずったままで、最後はギャンブルに出たものの、オービックLB塚田にインターセプトを喫し万事休す。同じ日本代表メンバーでありながらも「雲の上の人」と憧れていた高田に菅原がこの日、成長の証しを見せた。


日刊スポーツ


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