アメリカンフットボール日本選手権 第63回ライスボウル by プルデンシャル生命オフィシャルサイト

学生代表 関西大学カイザース

攻守蹴一体となったスピード集団高いターンオーバー率が勝利の方程式

[OFFENSE]
 今秋の関大攻撃の魅力は、なんといっても、チーム1の俊足・藤森裕人(3年)、センス溢れる松森光彦(4年)ら快足RBによるランニングアタックだが、彼らの活躍を引き出しているのが、スターター争いから春季終盤に抜け出してエースに定着したQB原口大知(4年)のリーダーシップだろう。
 課題だったパスの正確さも増し、要所でビッグプレーメイカーの池井勇輝(3年)、バランス感に富んだ高原直樹(3年)、負傷から復帰したベテラン森田恭平(4年)ら個性派揃いのWRへ絶妙なパスを決めているのも大きい。第3ダウン効率が52・5%でリーグ1位なのは、その成果が発揮された数字だろう。
 もともとスピードあふれるスキルポジションに自信を持つ関大だが、今季の攻撃の成功はOLの精度アップがもたらしているといっても過言ではない。
 OLは2、3年生中心ながら新人時から出場経験を持つ保呂篤志(3年)を筆頭に、昨季から出場機会を持つメンバーが多く、C大谷輝満(2年)、RG川西康太(3年)、RT保呂、LG西田直矢(2年)、LT富永義之(3年)がベストの布陣だ。
 春からランユニットの完成を目指してきたリーダー格の保呂は、「RBの個人技に助けられているだけで、OLとしてはまだ完璧でない。OLでランを出して勝ちたい」と意気込んでいる。
 要所で好ブロッカーとなっているTE青木塁斗(3年)のセンスあふれるプレーも見逃せない要素のひとつだ。

[DEFENSE]
 好RBの独走シーンが脚光を浴びている関大だが、守備の活躍抜きに今季の躍進は語れない。
 スターターの入れ代わったDLが課題とされていたが、春からNG重近弘幸(4年)、DE杉原浩太(4年)を中心にめきめきと成長。はつらつとしたプレーが身上のDE水村龍哉(3年)、U19グローバルチャレンジボウルに選抜されたDT石田賢三(2年)がスターターに加わり、スピードあふれるラッシュでLOSをコントロール下に置く活躍を演じてきた。主将・大舘賢二郎、玉岡与志勝(4年)、豊田真史(3年)らLB陣を含め、守備フロントの安定はスターター喪失ゼロだったDBのさらなる活躍を引き出している。
 見逃せないのが、ターンオーバー率。インターセプト18回はダントツのリーグ1位。SF飾磨佳和(3年)が5回でリーグ1位、CB林龍一(4年)、SF小原啓(4年)、新人CB砂川敬三郎がそれぞれ3回で2位と量産。ターンオーバー率は今季(インターセプト18、ファンブル4)だけでなく、昨年も1位(インターセプト10、ファンブル5)だったが、守備の奪った好機が確実に得点に結びついているのが、今季の大きな特長だろう。

[SPECIAL TEAM]
 「キッキングこそ、関大の代名詞。どこよりも力を入れている」(磯和監督)と自負する関大だが、好リターナー、好キッカーを過去にも多く輩出していることでもキッキングゲームへの取り組みは証明済みだ。今秋は、RB藤森がキックオフリターンで1TD、パントリターンで2TD。RB松森がパントリターン1TDで、合わせて4TDは今季リーグ最多。
 K小原のFG成功率は100%(8回中8回成功)で、ボールオン25ヤード以内のFGはすべて成功させるという公言を達成。スコアリングキックはFGとPAT合わせて52点でリーグ1位だった。今後の試合でも大きな得点源になるのは間違いない。 ★数字はすべてリーグ戦の記録

関西大学監督 磯和 雅敏
いそわ・まさとし。1967年8月20日生まれ。現役時はFSで活躍。1990年関大一中・一高に数学教師として赴任。関大一高コーチを経て、93年同校監督就任。高校生の指導のかたわら90〜96年までブラックイーグルスでプレーした。97、98年には全国高校大会クリスマスボウル2連覇を達成して注目された。当時の教え子たちに大学スタッフ入りを請われて、01年関大ヘッドコーチに迎えられ、02年監督就任(リーグ戦31勝16敗)。監督就任8年目で初めてのリーグ優勝となった。07年には学内の国外研修制度を利用して一年間米国研修へ赴き、ウエスタンミシガン大(MAC)でコーチングの研鑽を積んだ。
社会人代表 鹿島ディアーズ

重厚なランにパスが加わったバランス攻撃に対戦攻撃を混乱させるクレバーな守備

[OFFENSE]
 ディアーズ攻撃の柱は力強いラン攻撃だ。C村井雄太(早大)、G倉持和博(筑波)、T井澤健(日体)の日本代表トリオを筆頭に、G菅野英明(早大)、T小島大輔(東海)、ベテランG磯野英之(筑波)の主力OLは、平均184.8センチ124.5キロと超大型。エースRBは3年目の丸田泰裕(法政)に加え、佐藤昭一郎(東北)、曽根佑太(筑波)と豊富なタレントが重厚なランを積み重ねる。
今季は課題だったパスも大幅に改善。原動力は2年目のWR前田直輝(立命)と小嶋悠二朗(日大)のビッグ・プレー・メイカーが看板レシーバーとして定着。勝負強さを身に付けたエースQB尾崎陽介(関学)に加えて、新人パサー山城拓也(日大)の加入も攻撃の幅を広げる要素となっている。
 オールエックスリーグ・クラス・オブ・2009には倉持(4年連続4回目)、井澤(5年連続5回目)の看板OL二人と、丸田(初)が選手されている。

[DEFENSE]
 Xリーグ・ファースト・ステージで1試合平均8.6失点。セカンド・ステージが16,5失点と安定感を発揮したディアーズ守備は、役割分担を複雑に入れ替えて相手攻撃を混乱させることを得意としている。この守備を支えているのが、LB、DBの機動力だ。主将・牧内崇志(新潟)、比留間慎悟(東海)はDB並みのスピードを持つLBで、ラン・ストッパーの岡橋徹(関学)はどんな相手にも当たり勝つ屈強ヒットなマン。DB陣は佐野忠也(日大)、栄貴浩(専修)、LBから転向のSF山本吉孝(甲南)、長身で勝負強いCBに成長した加藤公基(金沢)に若手成長株の山本周平(関大らが主戦力。特に今季終盤のキー・ゲームで勝負強さを発揮している佐野の存在がクローズアップされる。
 DL勢ではパワー派DT西川岳志(法政)、2年目のスピード派DE鈴木修平(日大)らがアグレッシブなラッシュで、対戦相手のOL勢に対抗。
 オールエックスリーグ・クラス・オブ・2009には、この守備陣からは西川(2年連続2回目)、比留間(初)、佐野(2年ぶり5回目)が選出された。

[SPECIAL TEAM]
 攻守蹴すべてにバランスが取れているのがディアーズの最大の強みだが、スペシャルチームにも豊富な人材を揃える。リターンは、丸田、中川、前田、小嶋の若手に加え、中堅の大谷慎哉(関大)も一発TDの脅威を持つ存在だ。またKはP兼任の西口功将(関大)と、DB兼任の鹿島弘道(専修)が担う。特にスコアリングキックを担う鹿島はジャパンエックスボウルで3FGを蹴りこんだ貴重な得点源だ。

鹿島ディアーズ・ヘッドコーチ 森 清之
もり・きよゆき。1964年10月30日生。京都大学1988年卒。現役時DE/LB。97年欧州プロフットリーグNFLELアムステルダムのアシスタント・コーチ招聘。同年秋アサヒビール・シルバースター・コーチ、00年アサヒ飲料チャレンジャーズ守備コーディネーター。01年鹿島ヘッドコーチに就任(リーグ戦通算46戦37勝4敗)。JXB出場3回目、優勝1回。03年ドイツW杯日本代表コーチ。05年ジャパンUSAボウルの日本代表ヘッドコーチ。07年第3回W杯日本代表攻撃コーディネーター。09年日本フットボール75周年記念事業のノートルダムジャパンボウル日本代表ヘッドコーチなどを歴任。
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